今回はデマンドセンターの話をしましょう。

 デマンドジェネレーションという言葉はご存じでしょうか?「営業機会の創出」という意味を持ち、2005年頃から米国で使われだしたBtoBマーケティングの用語です。それまで、以下の3つのプロセスに分かれて運用されていたマーケティング活動の予算や組織を統合し、より売上げに貢献できるように再構築したものと考えて良いでしょう。

 1. 見込み客獲得 (リードジェネレーション:Lead Generation)
 2. 見込み客育成 (リードナーチャリング:Lead Nurturing)
 3. 見込み客の絞込み (リードクォリフィケーション:Lead Qualification)

 この「デマンドジェネレーション」は、見込み客データの収集活動である展示会やWebからの資料請求、ユーザー登録から、啓蒙・育成を経て営業部門へ訪問リストを渡すまでの活動全般を指すので、カバーする範囲が広く、長期間にわたって大量のデータを保持する必要もあるため、しっかりしたノウハウと組織からなる仕組みが必要になります。それがデマンドセンターです。

 これが必要な理由を、流行り言葉にもなっている「ノマド」を例に説明しましょう。

 いつの頃からかノートPCやタブレットを持ってカフェで仕事をする人を「ノマド」と呼ぶようになりました。語源は遊牧民、つまり定住地を持たない草原の民のことです。私も外出先の空いた時間にスターバックスなどで仕事をすることは多く、意外に集中できるので好きなのですが、中には不本意ながらノマドをしている人たちもいます。

 それは訪問先のない営業職です。言うまでもなく営業は顧客を訪問し、ヒアリング、提案、価格交渉などをすることが仕事ですし、その目的は「売り上げ」です。その彼らがなぜ客先ではなくカフェにいるのでしょうか?

 経営者と話をしていると、SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)を導入しようとしている本音の理由がこのノマド対策という場合があります。

「最近ウチの営業があちこちのカフェでサボってるのを良く見かけるんですよ。だからSFAを導入して営業のスケジュールを可視化してしっかり管理しようと考えています。」

 こうした意図でのSFAの導入には私はいつも反対します。SFAで可視化できるのは訪問予定と結果であって、架空のアポイントや訪問報告を入力されてもまず見破ることはできません。

 営業は「売りたい」のです。彼らは自分が「売り上げ」で評価されることを知っています。だから手ぶらで帰ってくると失望の視線を感じて、そそくさと会社を後にするのです。受注を獲得した時の誇らしそうな顔がそれを何より雄弁に物語っています。

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