ものづくりの祭典「Maker Faire」がシリコンバレーで開催された。この展示会は、DIY(Do It Yourself)の最高峰と呼ばれる。内容も、米国航空宇宙局の技術展示から、子供たちによる手作りアート講習会まで多彩で、ものづくり文化を肌で感じることができる。
実は、筆者は毎年この展示会を楽しみにしている。今年は、小型無人ヘリに代表されるドローン関連の奇抜なイベントや展示が目立った。
3D Roboticsのスピリット
会場ステージでは、業界著名人による講演会が行われた。ここでドローン開発会社3D Robotics共同創設者のChris Andersonが、“Zine Culture”とものづくり文化について講演した(上の写真)。
彼は、Zine Cultureが3D Roboticsのバックボーンとなり、現在のドローン市場を支えていることを説明した。Zine Cultureとは、大手音楽レーベルに対して、個人が独自レーベルを創り、音楽を発信するカルチャーを指す。80年代のパンクロック時代まで遡る。
その当時、数多くの独自レーベルが、カセットテープを媒体として音楽を配信した。一方、配信部数は限られており、音楽の「ロングテール」が形成された。Andersonはミュージシャンとしてこの文化の中で活動した経験があり、大量生産ではなく、個人が独自の発想でモノづくりを行う空気を吸って育った。このスピリットが、3D Roboticsにも注入された。個人中心のものづくり文化と共に、3D Roboticsは成長を遂げたのだ。