メインフレームからオープン系のシステムに移行する「レガシーマイグレーション」が、再び盛り上がりを見せている。従来のようにコスト削減や老朽化対策といった守りの理由ではなく、海外進出やM&A(合併と買収)、各種制度の変更など、ビジネス環境の変化に強いIT基盤に刷新するといった“攻め”の姿勢が鮮明だ。今どきのレガマイに挑む四つの企業・自治体の取り組みを掘り下げる。

 長年利用してきたメインフレームから、オープン系のシステムに移行する「レガシーマイグレーション(以下、レガマイ)」が、再び脚光を浴びている。アマダ、アサヒグループホールディングス(HD)、札幌市、日本生命保険は、20~30年ほど利用したメインフレームのシステムから、オープン系のシステムへの移行に踏み切った。

 レガマイに関するITベンダーへの問い合わせも増えている。「数年前に比べてメインフレームの台数は減っているが、レガマイの相談件数はむしろ1~2割増えている」(日立製作所 情報・通信システム社レガシーマイグレーション技術センタの崎本壮センタ長)。

図1●変化対応しやすいIT基盤への刷新が今どきのレガマイ
従来のレガマイと攻めのレガマイの違い
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 最近のレガマイは、業務やビジネスを成長させるために情報システムを強化しようという“攻め”の姿勢が鮮明だ(図1)。「海外進出や企業のM&A(合併と買収)など、会社として打ち出す成長戦略に対して、旧来のシステムでは対応できないケースが増えてきた。その解決に向けてシステム刷新に踏み切るというのが、最近の傾向だ」(日本IBM ハイエンド・システム事業担当の朝海孝理事)。

 メインフレームからの脱出によるコスト削減や、メインフレームの老朽化による障害発生・性能低下への対策などが主流だった、従来型のレガマイとは一線を画する。

 攻めのレガマイにより、海外進出に際して標準システムを素早く展開したり、M&Aで加わった企業をグループ経営にスムーズに取り込んだりといったことが容易になる。他にも、ブラックボックス化したシステムを“見える化”してITベンダーへの発注力を高めたり、消費増税や会計制度の変更などに対応しやすくしたりと、レガマイによって新たな“力”を手に入れる事例が増えている。四つの企業・自治体の事例を見ていこう。

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