日本情報システム・ユーザー協会は毎年、東証1部上場企業とそれに準じる企業の計4000社を対象にIT投資・活用動向を調査している。最新の調査「企業IT動向調査2014」の報告書から、ユーザー企業におけるIT投資・活用の最新動向をご紹介する。

 第1回は「ビッグデータ」、第2回は「クラウド」、第3回は「システム開発体制(内製か外注か)」、第4回は「システムの予算/工期/品質」に焦点を当てた。最終回となる今回は、「ITを活用したイノベーションへの取り組み」について解説する。なお、調査概要は本特集の目次に掲載した。

実施割合が最も高いのは「オペレーションのプロセス改革」

 ITを活用したイノベーション(変革)のうち、業種によらず最も多くの企業で取り組まれているのは、ビジネスモデルや業務プロセスに関するイノベーションである。企業の成長に伴うビジネスの成熟化や従業員数の増大などにより、ビジネスモデルや業務プロセスに対する改革ニーズも増大する。その結果、ITによるイノベーションが不可欠になっている。

 では、ITを活用したイノベーション(ビジネスモデルや業務プロセスの変革)は、どの程度実施されているのか。今回の調査では、七つのテーマについてITを活用したイノベーションの取り組み状況を聞いた。具体的には、(1)新しい商品・サービスの創出、(2)オペレーションのプロセス改革、(3)サプライチェーンのプロセス改革、(4)規制改革や新たな制度に応じた事業開発、(5)データ分析の高度化などによる情報活用、(6)集客・売上向上のための仕組み作り、(7)ワークスタイル改革、である。

 最も多くの企業で行われているのが、業務時間短縮などに効く(2)オペレーションのプロセス改革で、回答企業の31.8%が実施していた。これに続くのが、在庫削減などに効く(3)サプライチェーンのプロセス改革(21.5%)、(1)新しい商品・サービスの創出(16.0%)である。

 ITを活用したイノベーションは、大企業ほど積極的に取り組んでいる。図1に従業員数規模別のITを活用したイノベーションへの取り組み状況(実施済みの割合)を示す。テーマによって多少のバラツキはあるものの、従業員数が増えるにつれてイノベーションに取り組んでいる割合も増える。

図1●従業員数別 ITを活用したイノベーションへの取り組み状況
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 特に、最も多くの企業で取り組まれている(2)オペレーションのプロセス改革(赤い線のグラフ)では、企業規模との関係性が強く表れる。企業の成長に伴って従業員数が増えると、事務などのオペレーションのプロセスが複雑化する。その結果、オペレーションのプロセス改革が必要になると考えられる。

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