急激かつ予測困難な経営環境の変化に柔軟に対応しながら競争力を維持・向上し続けるには、企業内外の経営資源を最大限に活用しつつ経営革新に取り組み続けることが不可欠だ。これらを実践していくには、IT活用を高度化していくことが欠かせない。では、企業はどのようなIT戦略を立案し、実行していけばよいのか――。

 日本情報システム・ユーザー協会が、東証1部上場企業とそれに準じる企業の計4000社を対象に実施した調査「企業IT動向調査2014」の報告書から、ユーザー企業におけるIT投資・活用の最新動向をご紹介する。第1回は「ビッグデータの活用」に焦点を当てる。

全体の1割に満たないビッグデータ活用企業

 最近ではIT専門誌だけでなく、一般消費者向けの新聞や雑誌、テレビなどでも「ビッグデータ」が取り上げられるようになってきた。実際にどの程度、企業ではビッグデータの活用が進んでいるのか。活用状況の現状と今後(3年後)の予想を図1に示す。なお、今回の調査対象は上場企業とそれに準じる企業である点は注意いただきたい。調査概要は本特集の目次に掲載した。

図1●ビッグデータの活用状況(現状と今後)
[画像のクリックで拡大表示]

 現状を見ると、世間で騒がれているほどビッグデータの活用は進んでいないようだ。調査回答企業全体では、「導入済み」(ビッグデータを活用済み)が4.8%、「試験導入中・導入準備中」が3.6%である。上場企業とそれに準じる企業が対象であったとしても、ビッグデータを活用しているのは全体の1割に満たないのが実態だ。

 今回の調査では「ビッグデータは何か」を定義していない。また、調査対象がIT部門であるため、慎重な回答をしている可能性がある。例えば、「データウエアハウスなどを使って以前からデータ活用は行っている。だが、ここ数年で注目されている“つぶやき”分析や行動履歴の把握といったデータは活用していない」といった企業は、ビッグデータを「活用していない」と回答している可能性がある。また、扱うデータ量が少ない中堅中小企業では、ビッグデータ活用への関心が低いという背景も、全体の平均値を押し下げていると考えられる。

 ただし、潜在的なポテンシャルは大きそうだ。ビッグデータの活用を「検討中」とした企業は14.9%、「未検討だがニーズはある」は22.1%だった。今後(3年後)の予想では、「導入済み」(ビッグデータを活用済み)と予想する割合は10.0%、「試験導入中・導入準備中」が12.0%と、現状の2倍以上に膨れあがる。検討中を含めると3年以内には、全体(調査対象は東証1部上場企業とそれに準じる企業)の半数近くが何らかの形でビッグデータに関わることになりそうだ。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。