ビッグデータ基盤を構成するハードウエアやソフトウエアが急速に進化している。社内から社外、SNSへと、分析対象データの量や種類が増える中、データの「検索」と「統合」の妥協なきスピードアップは続く。 ストレージ、データベース、統合ツールの3分野に注目し、キーパーソンへのインタビューから進化の中身を読み解こう。(森山 徹)
ストレージ
フラッシュを使うメリットはどこにある
HDDに比べ、フラッシュはレイテンシー(遅延時間)が短いし、製品の設置スペースも狭い。HDDのみを利用している顧客を見ると、IOPS(1秒間に可能なI/O回数)とレイテンシーの要求に応えるために、オーバープロビジョニングしてきた。つまり、容量は不要なのに、性能向上のためだけに多くのHDDを並べてきたのだ。この使い方はムダが多い。
我々は、HDDを増やさずにパフォーマンスを上げるために、ストレージにフラッシュを少しずつ追加する施策を取ってきた。その結果、現在はHDDとフラッシュを混載する「ハイブリッド型」が主流になり、全出荷製品の60%を占めている。
さらに、パフォーマンスを高めたい、しかも設置スペースは取られたくないと考える顧客は、フラッシュのみを搭載した「オールフラッシュ」製品を使うことが多くなってきた。
全てオールフラッシュになるのか
そうは思わない。データには様々なワークロードがあるからだ。容量は必要だがそれほどパフォーマンスを必要としない、例えば写真や動画といったデータを格納するには、安価にキャパシティを増やせるSATAディスクが依然として有効だ。
アプリ開発や意思決定サポートなどのワークロードは、ハイブリッド型でいいだろう。最も高いパフォーマンスが必要で、低いレイテンシーを追求する領域では、オールフラッシュが選ばれる。
フラッシュはビジネスをどう変える
フラッシュは全てを変える技術だ。しかし一方で、顧客はアプリケーションがきちんと動くかどうかにしか興味がない。一つ付け加えるなら、フラッシュの採用でパフォーマンスが飛躍的に上がるので、これまでのバッチ処理をリアルタイム処理に変えるようなことが可能になる。顧客にとっては、ビジネスのスピードやサービスレベルを考え直すよい機会になる。
ネットアップの製品戦略は
HDD、ハイブリッド、オールフラッシュという幅広いポートフォリオを提供していく。こうしたフルラインナップを提供できるベンダーは、ネットアップと米IBM、米EMCだけだ。
ほかのベンダーは、ハイブリッドのみを提供するグループ、(オールフラッシュの一つである)サーバーキャッシュに注力するグループなどがある。プレイヤーが多く、激戦となっているのがオールフラッシュの分野だ。ただ、オールフラッシュはプレイヤーの動きは激しいが、市場規模は小さく、4億ドルくらいだろう。
スタートアップ企業は単一の製品で勝負してくる。その結果、パフォーマンスや性能がオーバースペックなものを顧客に強いる可能性がある。その点、我々は顧客ニーズに応じた製品を提供できる。特に、フラッシュの効率的な使い方を提案できることが強みだ。