サーバー仮想化は本連載でも過去に何回か(*1)取り上げており、今日のIT活用における最も重要なテーマの1つである。実際、大企業に限らず中堅・中小企業においてもサーバー仮想化に踏み切る例は少なくない。特に2012年から2013年にかけての時期には、その導入率は急速に増加した。

 だが、2013~2014年にかけての普及スピードは、2012~2013年に比べ緩やかになりつつある。これは中堅・中小企業におけるサーバー仮想化ニーズが飽和しつつあることを意味するのか。それとも今後更なる伸びを示していくのか。今回は新たな局面を迎えた中堅・中小企業におけるサーバー仮想化活用について考えていくことにする。

中堅・中小企業におけるサーバー仮想化活用は新たな段階へ

 以下のグラフは年商5億円以上~500億円未満の企業に対し、「サーバー仮想化の活用状況」を尋ねた結果を集計したものだ。少なくとも1台以上の物理サーバーにおいて仮想化を活用している企業、仮想化の活用を検討している企業、仮想化の予定がない企業の割合を示した(ただし、「過去に活用したが今はしていない」といった上記以外の細かい選択肢の結果を省略しているため、上記3つの選択肢の合計割合が100%にならない場合がある。また、「既にサーバー仮想化を活用しており、さらに別のサーバー用途で新たに活用する予定がある」というケースもあるため、上記3つの合計割合が100%を超える場合もある)。

図1●企業単位で見た場合のサーバー仮想化活用状況の推移(年商5億~500億円)
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 上記のグラフを見ると、2012~2013年には「活用中」「活用を検討している」の割合が大幅に伸びているが、2013~2014年はそれぞれの割合に大きな変化は見られない。この結果だけをみると、年商5億円以上~500億円未満におけるサーバー仮想化市場が飽和しつつあるように感じられるかも知れない。

 確かに、「少なくとも1台以上の物理サーバーにおいてサーバー仮想化を活用している」という企業の増加スピードは緩やかになっている。だが、「既にサーバー仮想化を活用済みのユーザー企業がさらに別の用途にも活用する」という観点では、まだ伸びる余地が十分にある。また、「活用する予定はない」という回答が2~3割存在しており、これらのユーザー企業が新たにサーバー仮想化へと踏み出す可能性もある。

 実際、「もっとサーバー仮想化を活用したいが、何らかの課題がある」または「サーバー仮想化を活用したいが、最初の一歩が踏み出せない」という悩みを抱えるユーザー企業は少なくないはずだ。そこで以下ではそれぞれのケースについて、障壁とその解決策を見ていくことにしよう。

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