前回(第4回)の最後に、購買サイクルの観点から「顕在化前の案件」、つまりPre-MQLの管理の必要性と、そのための手段としてテレマーケティングについて触れました。今回は筆者が何をテレマーケティングに期待し、実践しているかについて詳しく述べていきたいと考えます。
コールスクリプトは不要
テレマーケティングは電話を介した人対人のコミュニケーションであり、対面営業のコミュニケーションと変わるところはありません。そのため、よく言われるツリー構造の「条件分岐型コールスクリプト」はほとんど使い物になりません。コールの入り口(自社が聞きたかった内容)と出口(顧客が語った内容)は異なって当然と考えるべきでしょう。コールスクリプトを作る暇があるのならば、製品担当者や営業担当者とのQ&Aミーティングや案件共有会議を頻繁に実施する方が役に立ちます。
営業にバトンタッチする「リード」の評価機能として
リードジェネレーションの活動結果として生まれたリストを、そのまま営業に渡してもなかなかフォローされないものですが、筆者は事前にテレマーケティングによる評価を行うことが有効だと考えます。これにより、リードの信頼性が上がり、営業へバトンも渡しやすくなります。特にアンケート用紙やWebのフォーマットでは聞き取れない深いヒアリング(取引のあるパートナー企業や意思決定のプロセス、現状のシステムの更新時期など)が可能となるため、テレマーケティングによる評価を通して営業にバトンタッチすることを推奨します。
「一時的な案件発掘」から「継続的なコンタクト」と「ステータスアップデート」へ
筆者はテレマーケティングを、案件の有無確認やキーマンの発掘で完了するだけの施策ではなく、パーミッションを得た特定の顧客に対し、継続的にコンタクトを行い、顧客の投資状況の変化を把握するために活用しています。最大の理由は第3回で説明した通り、顧客の投資優先順位はいつ、どのような理由で変化するか予想がつかないためです。
しかし、あらゆる顧客に対して電話をかけ続けるのは非効率であるため、第2回で説明したターゲティングにより、継続的なコンタクトを取りに行く顧客を絞る必要があります。業種や商材にもよりますが、1~3か月に1回のコンタクトであれば(かつ自社の商材が顧客の課題解決に役立つのであれば)、大きなクレームになることはありません。大抵の場合、きちんとターゲティングさえできていれば、セミナー情報や製品情報の提供は、顧客にとって有益なものとして受け取られます。