早くも1年の4分の1が過ぎ去った。新年度を迎えた企業も多いことだろう。2014年4月はWindows XPのサポート終了や消費税率改正といった、企業のIT活用に影響を与える事象が重なった大きな節目でもある。これらの対応に多大なコスト負担を強いられた企業も多く、今も対応に苦慮するケースもある。
このような状況で、新たなIT投資を決断するのは難しいことかも知れない。だが、原材料/エネルギー/人材などの調達コストの増加、デフレ志向から完全に脱却していない状況での低価格競争、スマートデバイスやSNSによる顧客接点の多様化といった、様々な環境変化に適応していくには、ITの活用が不可欠だ。そこで今回は企業がIT投資の原資を確保する際に活用できる各種支援制度を取り上げる。
中堅・中小企業が支援制度に抱く疑問点
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、「IT投資が必要となった場合に今後利用したいと思われる支援制度(複数回答可)」を尋ねた結果である。
ここでいう「公的機関」とは、経産省/中小企業庁/商工会議所/商工会といった政府系の活動主体を指す。上記のグラフからはこれら公的機関による税制優遇や補助金に対する活用意向をもつ中堅・中小企業が多いことが読み取れる。
筆者が中堅・中小企業に、各種の支援策についてヒアリングしたところ、特に公的機関による支援策について、次のような疑問が寄せられた。
疑問1: 公的機関による支援制度の対象は主に小規模な製造業であり、中堅企業や小売業/サービス業には無関係なのでは?
疑問2: 中小企業では赤字経営が多いため、税制優遇のような支援制度はそもそもニーズがないのでは?
疑問3: これまでも支援制度に関する適切な提案を受けられた試しはない。その点は今後も同じではないか?
以下では、この3つの疑問について、詳しく答えていくことにしよう。