ビッグデータ分析や大量トランザクション処理、サーバー仮想化やデスクトップ仮想化など、ストレージのI/O(入出力)性能が要求されるケースが増えてきた。ここで注目を集めているのが、ハードディスクドライブ(HDD)よりも高いI/O性能を実現するフラッシュストレージである。
そこでITpro Activeでは、フラッシュストレージをテーマに、製品選択を支援するセミナー「フラッシュストレージ~超高速I/Oが実現するITインフラ変革~」を、2014年3月18日に東京で開催した。
基調講演として、テックバイザージェイピーの栗原潔氏が市場動向の全体像を解説。製品講演では、主要ベンダー4社が自社のフラッシュストレージの特徴を紹介した。セミナーの最後に、IT分野の総合情報誌『日経コンピュータ』の森山徹副編集長が、製品選択のポイントをまとめた。
基調講演
フラッシュのI/O性能は必然、
既に適材適所の普及フェーズに移行
基調講演では、テックバイザージェイピー代表取締役の栗原潔氏が登壇。ビッグデータ、クラウド、モバイルなどのメガトレンドにともなってユーザー企業のストレージ戦略が今まで以上に重要になっていることを示すとともに、フラッシュ技術の活用を中心としたストレージ戦略のあり方を提言した。
栗原 潔 氏
栗原氏はまず、フラッシュストレージというメガトレンドの背後にある個々のトレンドについて説明。フラッシュの需要を押し上げている重要なトレンドとして、コンシューマライゼーション、ビッグデータ、ソフトウエア定義型、クラウド、モバイル、統合インフラストラクチャー(垂直統合型システム)を挙げた。
中でもコンシューマライゼーションは、極めて需要なトレンドという。この言葉は、コンシューマ分野でテクノロジーが発展/普及し、これが企業でも利用されるようになるという“産消逆転”の流れを指す。スマートフォンやSNSなどで顕著だが、フラッシュメモリーについても、コンシューマ分野から先に浸透しているという状況がある。
コンシューマ市場向けに大量に作れば、価格が安くなる。このことがフラッシュの普及を支えている。さらに、スマートフォンのアプリケーション開発のように、コンシューマ自身によるイノベーションも起こっている。例えば、企業向けに作られているBlackBerryよりも、コンシューマ向けのiPhoneの方が、企業向けにも優れているという現象が起こっている。
こうした動きから、エンタープライズ(企業情報システム)系のITベンダーの勝ちパターンが見えてくるという。それは、根底技術にコンシューマ向けのものを使い、その上の付加価値(信頼性やセキュリティ、統合ソリューション)で勝負するということ。必要十分な技術が低価格かつ安定して供給されている点が、コンシューマ向け技術のメリットである。