前回はユーザー企業に対する調査結果を基に、「生産管理、会計管理、販売・仕入・在庫管理、給与・人事・就業管理といった基幹系システムに今後求められるものとは何か」を論じた。

 今回はグループウエアやワークフロー、CRM(顧客関係管理)などについて、同様の考察を行っていくことにする。情報系/顧客管理系のシステムはクラウドやスマートデバイスといったIT分野の最新動向とも関係が深い。それらの点も踏まえながら見ていくことにしよう。

「部品化」や「再利用性」がワークフローの運用負荷を左右する

 まずワークフローから見ていこう。図1はパッケージ/サービス/独自開発システムを問わず、ワークフローを既に導入している年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、「ワークフローにおける今後の指針または重視事項」を尋ねた結果である。

図1●ワークフローの活用における今後の指針または重視事項(複数回答)
[画像のクリックで拡大表示]

 最も多く挙げられている項目は「複雑な申請/承認フローへの対応」であり、全体の5割近くに達する。日本の企業では「課長と課長代理のどちらかの承認が得られればよい」「現場部門と経理部門の2つの経路が併存し、双方から承認を得る必要がある」など複雑な申請/承認フローが求められることが少なくない。このため、昨今では多くのワークフロー製品がこうした機能を備えている。そうした中、ユーザー企業が重視すべきなのは複雑な申請/承認フローの管理性だ。

 申請/承認フローは、一般的に旅費申請や購入申請といった申請書フォームとひも付けられた形で利用される。このとき、申請/承認の経路自体は同じにもかかわらず、申請書フォームごとにフローを作成するのでは大変だ。申請/承認フローと申請フォームを別々に作成して、それらを組み合わせることができる(つまり、複数の申請書フォームが1つの申請/承認フローを共有できる)仕組みが必要となる。

 「100万円以上の購入申請の場合は現場部門の承認だけでなく、並行して経理部門の承認も必要」といった特定パターンが、複数のフローに頻繁に出てくることもある。こうした場合、特定パターンを「部品」として再利用できると便利だ。

 このほか、4月になると多くの企業が新年度を迎える。その際の組織変更は、申請/承認フローにも影響を及ぼす。新旧のフローを日付によって切り替えられる機能や、組織変更後も2つのフローをしばらくの間は併存させられる機能があると、管理・運用の負担軽減に役立つだろう。

 こうした機能を備えたワークフロー製品の1つとしては、例えばNECの「FlowLites、EXPLANNER/FL」※1が挙げられる。同製品はユーザー企業において機能面の評価が比較的高い。管理/運用の負担軽減につながる機能への注力が、高評価の要因のひとつと考えられる。

 このように複雑な申請/承認フローを無理なく管理・運用するには「部品化」や「再利用性」の向上が重要なポイントとなる。ユーザー企業としては機能の豊富さだけでなく、組織変更やフロー更新に手軽に対応できるかなど、実際の管理・運用をイメージしながら製品を選定することが大切だ。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。