消費税率が前回改定されたのは1997年。17年ぶりで、かつ1年半に2回という今回の消費税率改定が、企業の情報システムに前回以上の大きな影響を与える。情報システム部門は価格表示といった自社の対応方針を踏まえて、財務会計や販売管理など消費税を扱う基幹系システムを中心に対応策を検討・実施する必要がある。まずは前回増税時との違いを理解しよう。

 消費税率が17年ぶりに変更される。前回変更された1997年から状況は一変している。企業の社内システムにはERP(統合基幹業務システム)パッケージが普及し、クラウドの活用が進んでいる。一般社会でも、ICカードを利用したSuicaのような乗降システムや電子マネーが普及するなど、ITの活用場面が増えている。

 加えて、「1年半で2回の税率変更がある」「総額表示から外税表示も可能になる」といった、17年前にはなかった注意点もある。前回の消費税率変更を乗り切れた企業であっても絶対に油断は禁物だ。

 業種や規模に関わらず、消費税率の変更は全ての企業に影響を及ぼす。どのような企業であっても、これから3カ月以内には、消費税率8%に対応しなければならない。

 2014年4月1日までにどのような手順で対応を進めるべきかをまとめたのが図1だ。

図1●消費税率変更に向けシステム部門が実施すべき工程と、遭遇する恐れのある「落とし穴」
それぞれの工程に潜む「落とし穴」を回避せよ
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 この図では、現時点でシステム対応のプロジェクトを発足させていない企業を例に取り、遅くともこのスケジュールで作業を進めない限り、消費税対応は間に合わない、というギリギリの工程を示している。現在対応を進めている企業や、一通りの対応を終えた企業も、作業の漏れがないように改めて確認してほしい。

3カ月を無駄なく使う

 まずは大きな流れを説明していこう。1月中に完了しなければならないのが、消費税率変更の影響を受けるシステムを把握することだ。その際に確認すべきポイントは二つある。

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