前回はERP(統合基幹業務システム)の導入社数ベースのシェアで上位を占めるSAPジャパンとOBCの取り組みを取り上げながら、ユーザー企業がERPを選定する際の重要ポイントについて考察してみた。
昨今の経済環境における変化や技術の進歩を受けて、ERP活用において検討するべき事柄も広がりを見せつつある。例えば、次のような事柄について検討を進めているユーザー企業は少なくないだろう。
- スマートフォンやタブレットを活用して業務効率やサービス向上ができないか?
- 海外拠点と国内本社との業務連携やデータ共有を行うにはどうすれば良いか?
- 多種多様なデータを集計/分析して、一歩先を行くビジネス展開はできないか?
これら3つに共通する技術基盤がクラウドだ。AやBのように社外からもアクセス可能なシステムを構築する際に、クラウドは有効な選択肢の一つとなる。また、Cのように多くのCPUやメモリーを一時的に必要とする処理においても、クラウドが持つ拡張性や柔軟性は有効だ。
そこで今回はクラウドとERPの関係について、ユーザー企業に対する調査データ、さらに前回と同じくSAPジャパン、OBCというシェアー上位ベンダーの取り組みを重ね合わせながら探っていくことにする。