モバイルアプリの使用性を高めるには、画面設計だけでなく、サーバー側を含むシステム全体のアーキテクチャーを見直すことが重要になる。まずは、アーキテクチャー設計に踏み込んでモバイルアプリを開発した事例を見ていただこう。

 「TAKAMI BRIDAL」ブランドで結婚式プロデュースなどを手がけるブライダル大手の高見は、2012年9月にiPadを使った商談アプリを導入した(図1)。目的は、米国ハワイにある結婚式場「The Terrace By The Sea」を使った海外ウェディングプランに関する商談業務の質を上げること。挙式を検討している顧客に、iPadの商談アプリの画面を見せながら、ハワイの基本的な情報提供、式場の紹介、プラン提示、費用見積もりなどを行う。

図1●オフライン化によって使用性を高めた、高見の商談アプリとシステム全体のアーキテクチャー
ブライダル大手の高見は、スムーズな動画再生や迅速な費用見積もりといった使用性を重視し、オフラインで利用できるiPad用商談アプリを導入した。コンテンツ更新などによるデータ同期時以外、サーバーとiPadの間で通信は発生しない。現在はWebシステムとして稼働中の式場予約システムなどを統合することも視野に入れている
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 2011年11月にハワイでのウェディング事業の準備室を立ち上げると同時にアプリ開発の検討を始め、2012年9月の式場オープンに合わせて導入した。現在は、商談スペースがある全国7拠点で、約30台のiPadに商談アプリを入れて使っている。

 アプリを開発したのは、ITによるマーケティング支援を手掛けるクロフネ。電子カタログ、見積もり、ローン計算などの機能を搭載した、同社のiPad用商談業務パッケージ「Cloud Boat」(2011年リリース)をベースに、高見の商談アプリを開発した。

 クロフネは元々、高見向けに映像制作やプロモーション用のiPhoneアプリ開発などを手掛けており、「ブライダルビジネスに関して深い理解がある」(高見 デスティネーションデスク表参道 マネージャー 中谷英代氏)。このため、高見の商談アプリの開発では、要件の洗い出し作業などがスムーズに進んだという。

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