スマートデバイスの業務利用が進む中、セキュリティを担保するソリューションとしてMDM(モバイルデバイス管理)が普及してきた。だが、「MDMさえあればいい」という風潮は変わりつつある。BYOD(Bring Your Own Device)の導入で、端末内のアプリやコンテンツを管理する必要に迫られたからだ。MAM(モバイルアプリケーション管理)やMCM(モバイルコンテンツ管理)が競いどころになる。
スマートフォンやタブレット端末といったスマートデバイスを導入する企業が増えている。最近では個人所有のデバイスを持ち込んで業務に活用するBYOD(Bring Your Own Device)の採用も加速している。
スマートデバイスは便利な反面、紛失や盗難などの不安がつきまとう。管理者は、利用者が社内の業務ルールやセキュリティポリシーを守っているかどうかも確認しなければならない。こうした課題を解決するのがMDM(モバイルデバイス管理)だ。
だが、スマートデバイスの利用方法が多様化すると、従来型のMDM機能では限界が見えてきた。
例えばMDM機能の中で最もよく使われるリモートワイプ機能。従来型のMDMでは端末内の全データを消してしまう。会社支給の端末ならそれでもよいが、BYODの場合、個人のデータまで消してしまうのは問題がある。
BYODで注目高まるMAMとMCM
こうした問題をクリアするために登場したのがMAM(モバイルアプリケーション管理)とMCM(モバイルコンテンツ管理)だ(図1)。端末そのものではなく、端末内のアプリやコンテンツを管理するという発想に基づいて開発されたもので、特にBYODを導入する企業では必須の存在になりつつある。
提供形態は多岐にわたる。(1)MAM単体あるいはMCM単体、(2)MDMとMAM、MCMの機能を一体化、(3)MDMとMAM、MCMをそれぞれ別のソリューションとして用意し、ユーザーの要望に応じて個別にパッケージ化、(4)MDMとMAMの組み合わせ、(5)MDMとMCMの組み合わせ─などだ。
例えばマカフィー マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 スペシャリストの松久育紀氏は「顧客の要望に沿う形で搭載する機能にプライオリティーを付けた結果、まずはMDMとMCMを用意した」と話す。