仮想化/クラウドが浸透し、業務システムの多くがクラウド環境で運用されるようになってきた。こうした中、自然災害やシステム障害の際に、インフラ基盤の可用性に加えて、個々のアプリケーションやデータの可用性を確保する仕組みが求められている。

 そこで伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)とITpro Activeは、アプリケーションを含めたシステム全体を災害時復旧(DR:ディザスターリカバリー)する製品とその構築方法を紹介するセミナー『仮想化でこんなに簡単!事業継続~DRソリューション選定の勘所~』を、2013年10月28日に東京で開催した。

 講演では、DRシステムを構成する製品ベンダー、日立製作所、ヴイエムウェア、シマンテックの3社が、それぞれの製品の特徴と狙いについて説明。さらに、製品の販売とシステム構築サービスを手がけるSIベンダーのCTCが、各製品を組み合わせたDRシステムの全体像について解説した。

伊藤忠テクノソリューションズ
DRの3ステップは、レプリカ、仮想化、起動順制御

 日立製作所、シマンテック、CTCの3社は2012年7月6日、3社共同でニュースリリースを発表した。内容は、日立製作所のストレージをベースに米VMwareとシマンテックのミドルウエアを組み合わせたDRシステムを提唱するものである。講演では、CTCの國分氏が、このDRシステムの全体像を紹介した。

 セミナーではまず、CTCの國分氏が登壇し、以下の3製品を組み合わせたDRシステムの全体像を説明した。

  1. 日立製作所のミッドレンジストレージ「Hitachi Unified Storage 100シリーズ」(HUS)
  2. ヴイエムウェアのミドルウエア「VMware vCenter Site Recovery Manager 5」(SRM)
  3. シマンテックのミドルウエア「Symantec ApplicationHA」(ApplicationHA)

 HUS、SRM、ApplicationHAは、DRシステムを段階的に導入していく際の、三つのステップに呼応するという。

  1. まずは、ストレージであるHUSを本番系サイトと待機系サイトに導入すれば、ストレージのレプリケーション機能により、DRサイトを運営できるようになる。
  2. 次に、仮想化技術とSRMにより、VM(仮想サーバー)のDRが容易になる。
  3. さらに、ApplicationHAによって、アプリケーションまで含んだDRが可能になる。

ストレージの機能でサイト間レプリケーションが可能

伊藤忠テクノソリューションズ
ITエンジニアリング室インフラソリューション技術第1部
國分 学氏

 DRサイト構築の第一段階となるHUSは、日立製作所のミッドレンジストレージである。國分氏は、HUSについて、サイト間でデータをレプリケーション(リモートコピー)する機能など、DRシステムの構築に適した各種機能を備えていると説明する。

 レプリケーションには同期型と非同期型があり、HUSはこのどちらの形態でもレプリケーションできる。これらは用途に応じて使い分けると良いとした。

 同期型は、アプリケーションから本番系サイトへのストレージI/Oが発生した際に、レプリケーション先となる待機系サイトでのストレージI/Oの終了を待ってから完了とする。この方式のため、データの堅牢性を保つことができるが、本番系サイトと待機系サイトの間のネットワークが高速でなければならない。iSCSIやFCoEでは距離にして100キロメートル程度が限界だろう、とした。

 一方、非同期型では、本番系サイトのストレージI/Oが終了した時点で完了とする。サイト間のデータコピーは、ネットワークが空いている時に非同期で実施する。この方式のため、データの堅牢性では一歩劣るが、ネットワークが高速かどうかを問わない。

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