フラッシュメモリーを活用したストレージ製品が猛スピードで進化している。専用OSを搭載し、信頼性や性能を格段に高めた「PCIeカード型」や「オールフラッシュアレイ」などだ。これら新分野では、新興ベンダーがいち早く製品を投入し、老舗ベンダーが対抗する展開となっている。フラッシュメモリーが変えるストレージの最新動向を探った。

 「ハードディスク(HDD)換算で約4000個分のI/O性能を1Uサイズで実現した」。日本IBM ストレージ事業部 ソリューション部長の佐野正和氏は、2013年4月に発表したオールフラッシュアレイ「IBM FlashSystem」の高性能に胸を張る。オールフラッシュアレイは、フラッシュメモリーのみを搭載したストレージだ。

 フラッシュメモリーの活用は、これまでもSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)として可能だった。しかし、それはHDDの代替であり、フラッシュメモリーに最適化されてはいなかった。これに対して、最近のオールフラッシュアレイやPCIeカード型の製品は、フラッシュメモリー向けの専用OSを搭載し、性能や信頼性を格段に引き上げている(表1)。

表1●「PCIeカード型」と「オールフラッシュアレイ」の製品例
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 こうした新分野を切り開いてきたたのは米Fusion-ioや米Pure Storage、米Violin Memoryといった新興ベンダーだ。「新興ベンダーが、フラッシュメモリーに最適化したアーキテクチャーを持つストレージ製品を市場に投入したことで、米EMCや米IBMといった大手ベンダーは対抗上、オールフラッシュアレイを手掛けざるを得なくなってきた」(IDCジャパン リサーチ第1ユニットの森山正秋氏)。

 先のIBMのオールフラッシュアレイは、2012年に同社が買収した米テキサス・メモリー・システムズ(TMS)の製品をベースにしている。EMCは現在「XtremIO オールフラッシュアレイ」を開発中で、米NetAppもオールフラッシュアレイの新製品「FlashRay」を2014年1月にリリースする予定だ。

フラッシュでI/O性能を追求

 データアクセスを高速化したいというニーズは今に始まったことではない。データベースやデータウエアハウスに加え、仮想化環境が加わったことが最近の動きだ。1台のサーバー上で多くの仮想マシンを稼働させるので、どうしてもディスクI/Oが性能のボトルネックになってしまう。

 HDD環境でI/O性能を高めるには、HDDの数を増やして分散を図るのが一般的だ。ただしこの手法では、性能を上げるとディスク容量も引きずられて増えてしまう。その結果、設置スペースの無駄や、余計な電力消費が生じる。

 I/O性能を追い求めるなら、フラッシュメモリーに軍配が上がる。フラッシュメモリーの信頼性を高めるための技術が出そろい、SLC(シングルレベル・セル)ではなく、より安価なMLC(マルチレベル・セル)が使えるようになってきたことは、フラッシュメモリー搭載製品にとって追い風だ。今後、ストレージはどう進化していくのか。各ベンダーの製品、戦略を見よう。

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