情報システムの運用負荷が増大している。仮想化/クラウドの浸透など、システムの多様化/複雑化が進んでいるためだ。一方で、運用にかける予算はなかなか増やせない。つまり、従来型の属人的な手法では対処できなくなってきているのだ。今までとは違う新たな方法で、効率良く運用しなければならない。

 そこでITpro Activeでは、運用作業の効率化に有効な「運用自動化」の実践手法を解説するシステム課題解決セミナーを、2013年10月7日に東京で開催した。

 講演では、『日経BPシステム運用ナレッジ』編集長の森重和春氏が運用現場のユーザーに聞いた実態調査の結果を報告したほか、運用管理製品の関連ベンダーである日立製作所、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、CTCシステムサービス(CTCS)の3社が、運用自動化の実践手法を解説した。

基調講演
いま問われるシステム運用力
調査に見る運用現場の課題とその解決策

 仮想化やクラウドの浸透によって、情報システム運用の現場は、これまで以上に高度な運用品質が求められるようになっている。基調講演では、『日経BPシステム運用ナレッジ』編集長の森重氏が、ユーザー調査の結果から運用現場の課題を報告し、事例を交えて解決策を解説した。

日経BPシステム運用ナレッジ編集長兼
日経BPイノベーションICT研究所主席研究員
森重 和春氏

 森重氏が講演で報告したのは、日経BPシステム運用ナレッジが実施したアンケート調査「運用実態調査2013」によって明らかになった、情報システム運用現場における課題と取り組み状況。同調査は、2013年1月から2月にかけて実施したもので、全国のユーザー企業3900社に郵送で調査した。

 調査の前提に当たり、問題意識があったという。それは、現在のシステム運用を取り巻く環境が把握しにくい、ということだ。管理が必要な情報システムの種類や数が増える一方で、運用品質の要求が従来以上に高まっている。こうした中で、運用管理の効率化と生産性向上が必須になっているという。

新規開発は増加、運用管理は抑制

 調査の結果、2012年における情報システムの支出自体は、全国平均で4.7%も増えており、明るい兆しを見せた。理由としては、例えば、東日本大震災で一旦は滞った情報システムへの投資が復活している、といったものがあるという。投資の内訳についても、全体の75%を運用保守が占めている(45%が運用、30.8%が保守)。

 ところが、明るい材料ばかりではない。今後の見通しでは、「新規開発」のコストは40.7%が増やすと回答しているのに対して、運用管理のコストを増やすと答えたのは22.2%と少なく、現状維持または減らすとした回答が8割を占めている。保守についても同様だ。このように、コストを増やせない中でいかにして運用保守サービスを提供するのかが課題となっている。

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