この連載では、市場で話題の製品・サービスとその主要ベンダーを取り上げて、「ユーザー企業は、ベンダーとチャネルをどう見極めるべきか?」という観点から解説している。

 今回のテーマは、ビジネスソフトでデファクトスタンダードとなっているマイクロソフトのOfficeである。オンプレミスのパッケージだけでなくオンラインサービス、いわゆるクラウド版のOffice 365が市場に投入されてから2年が経過した。Office 365は既存のOfficeユーザーの圧倒的な支持を背景に、本格的な普及の緒に就きつつあるのだろうか。

デファクトスタンダードの優位性を狙うOffice 365

 ほとんどのクライアントパソコンで、OSはWindows、オフィスソフトはMicrosoft Officeがデファクトスタンダードになっている。そうした状況で、従来のパッケージ版とは別に、Office 365はオンラインサービスとして登場した。

 今までパッケージライセンスで購入していたOfficeソフトが、オンラインサービスとして低価格で利用可能になっている。とはいえオンプレミスのパッケージライセンスで成立していたビジネスを月額課金の低価格で提供することは、マイクロソフトはもちろんだが、実際に販売するパートナーにとってもチャレンジであっただろう。

 クラウドサービス全般にいえることだが、低価格で提供するにはそれだけ多くの利用者を持たなくてはならず、従来のパッケージ販売と同等の収益を得るには時間がかかる。しかもパッケージ版とクラウド版が併存することになると、販売する側のモチベーションを高めることは難しくなる。つまり、儲けが生まれるかどうかを中長期的なスパンで見極める必要がある。

 Office 365が登場して、すでに2年以上が経過している。その前身ともいえるBPOS(Microsoft Business Productivity Online Suite)は、「Exchange」「SharePoint」「Communications」「Live Meeting」などをマイクロソフトが自らホスティングして、ASP(Application Service Provider)で提供するサービスであり、2009年に市場に投入された。Office 365は、そのBPOSを市場に認知させて契約数を向上させるべく、知名度や利用度の高いOfficeブランドを活用したオールインワンのクラウドパッケージとして2011年6月に発表されたのである。

 Office 365導入企業の内訳では、250人以下の中小企業が多くなっている。傾向としてはサーバー導入をしていない企業層にアプローチできているようだ。マイクロソフトのWebページにある事例紹介コーナーには、すでに120社を超える企業が登場している。

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