スマートデバイス向けアプリを開発するケースが増えている。PC向けに比べてスピード開発が求められる。現場で問題になりやすいのは、実はデバイス側機能よりサーバー側機能の開発である。そこで登場したのが「BaaS」だ。開発スピードを上げる効果が期待できる。

 スマートフォンやタブレット端末といったスマートデバイス上で動作するアプリケーションは、デバイス側にばかり目が行きがちである。だがシステムとして利用者に使ってもらうにはユーザー管理機能やデータ管理機能など、サーバー側の機能も欠かせない。今、このサーバー側機能の開発が大きな問題になりつつある。

 問題の一つは、サーバー側に用意しなければならない機能が多く、その開発に時間も手間もかかることだ。サーバー側に必要な機能は大きく三つある(図1)。認証やアクセス制御などの「ユーザー管理機能」、利用者が入力したデータなどを保管する「データ管理機能」、プッシュ通知やGPSを応用した位置情報といった「スマートデバイスならではの機能」の三つだ。

図1●スマートデバイス向けのシステム開発ではサーバー側がネックになりやすい
図1●スマートデバイス向けのシステム開発ではサーバー側がネックになりやすい

 これらの機能をすべてゼロから作るとなると相応の時間がかかる。スマートデバイス向けアプリ開発に詳しい、ピーシーフェーズの荒川義弘氏(技術本部 プラットフォーム開発部 マネージャー)は自身の受託開発での業務経験から「2~3カ月かかることも珍しくない」と話す。

 もう一つの問題は、プッシュ通知などスマートデバイス特有の機能を開発できるITエンジニアが限られることだ。クラウドの動向やモバイルシステムの開発に詳しい、エクサの安藤幸央氏(コンサルティング推進部 担当課長)は、「AndroidとiOSで実装方法が変わる。両方に対応させるときは特に負担が大きくなりやすい」と指摘する。

MSもGoogleも参入

 こうした背景で登場してきたのが「BaaS(Backend as a Service)」である。バックエンドと名が付く通り、スマートデバイス向けアプリケーションを動作させるうえで必要なサーバー側の機能をクラウドで提供するサービスだ。

 米国で2011年に登場し、2012年に入ってからベンダーが一気に増えた。代表的なBaaSは、米Microsoftの「Windows Azure Mobile Services」やモバイル専業ベンダーの米Parseが運営する「Parse」などだ。米Googleも2013年2月に「Google Cloud Endpoints」という名称で参入した。

 国内でもモバイルシステム開発を得意とするベンダーを中心に参入が続く。ピーシーフェーズが試験提供していた「appiaries」を2012年11月に本サービス化したのに続き、2013年2月にKiiが「Kii Cloud」を開始。スマートデバイス用アプリケーション開発環境「Monaca」を提供するアシアルも、2013年3月にBaaSの提供を開始する。

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