今後キーとなる先進テクノロジーとしては、クラウド、ソーシャル、モビリティ、インフォメーション(ビッグデータ)の4つが重要になる。この4つのテクノロジーは単独で存在しているわけではなく、お互いに絡みあうことでイノベーションを生み出す。ガートナーでは、これら4つのテクノロジーの組み合わせのことを「Nexus of Forces」(力の結節)と呼んでいる。
今後重要になるのは、4つのテクノロジーをどう使って、ビジネスをドライブしていくのか?ということだ。
ITは、売上向上や顧客満足度の改善など、企業の成長に直接的に貢献しているかどうか、という視点で評価されるようになっている。今求められているのは、ビジネスのデジタル化、つまりIT主導のビジネスモデル・イノベーションだ。これを実現するためのキーテクノロジとして、クラウド、ソーシャル、モビリティ、インフォメーション(ビッグデータ)の4つのテクノロジーがクローズアップされているのだ。
そして今日、大きな問題になっているのは、個々の要素技術ではなく、4つのテクノロジーをベースにしたビジネスモデル・イノベーションを、企業の中で誰が推進していくのか?という点だ。企業のCIOやIT部門長などのIT組織のリーダーには、「あなた方にそれが期待されていますよ」と改めて言いたい。
IT主導のイノベーションを推進するCDO
IT主導のビジネスモデル・イノベーションを推進する責任者として、米国では、すでに「CDO(Chief Digital Officer)」というポジションが生まれている。
CIOを筆頭とする企業のIT組織リーダーは、自身の役割を拡大させて、「Nexus of Forces」をベースにした新しいビジネスモデルや新しい商品・サービスを生み出すべきだ。つまり、CDOの役割を担うべきだ。
もしCIOが、これまで通り、主に既存システムの運用効率化やコスト削減を担い、IT主導のビジネスモデル・イノベーションの推進=CDOの役割を他の人に譲るなら、社内におけるCIOというポジションのプレゼンスは落ちるだろう。
実際、企業のIT組織リーダーはCDOの役割を担うべき、と考える経営者も少なくない。ガートナーが2012年にCEOと経営幹部を対象に実施した「CEO and Senior Executive Survey 2013」では、CEO/経営幹部の60%が、「2014年までに、CIOにイノベーションを実現する旗手となってほしい」と考えている(図)。ただし、その一方で現時点で19%のCEO/経営幹部が「(CIOではなく)CDOが担うべき」と回答している。CIOの取り組み如何によっては、今後この比率が大きく逆転するかもしれない。