本連載ではサーバー仮想化やプライベートクラウドなど、先進的なITインフラの活用実態についても何回か取り上げてきた。それらの土台となるのは、x86サーバーにWindowsやLinuxなどのOSを搭載した、いわゆるオープン系のシステムであることが多い。
だが、メインフレームやオフコンといった、いわゆる「レガシー資産」を所有する企業も少なからず存在する。サーバー仮想化やプライベートクラウドがもたらす利点でもある「ITリソースのプール化」などを十分に享受し、ITインフラの所有コストを最小限に抑えるためには「レガシー資産をどうするか?」という課題を無視することはできない。
そこで今回はこうしたレガシー資産の実態と今後について取り上げることにする。
依然として数多く存在するレガシーシステム
はじめに言葉の定義を確認しておこう。本稿では「メインフレームやオフコンといったベンダー独自のハードウエアおよびOSを基盤とし、COBOLやFORTRANといった開発者数が比較的少ないプログラミング言語を用いて構築されたシステム」を「レガシーシステム」と呼び、それを構成するハードウエアやソフトウエアといったIT資産を「レガシー資産」と呼ぶことにする。
図1はユーザー企業に対し、「現在も利用中のレガシーシステム(複数回答)の有無」を尋ねた結果である。選択肢には主要なレガシーシステムのベンダー名と種類別を記載している(カッコ内は代表的なOS名称)。
「レガシーシステムはない」と回答したユーザー企業は、年商5億円~50億円で約6割、年商500億円以上でも4割近く存在する。これを逆に言えば、4~6割の企業ではレガシーシステムが存在していることになる。
図1で「何らかのレガシーシステムがある」と回答したユーザー企業に対して、「レガシーシステムのシステム数」をさらに尋ねたものが、図2である。ここでの「システム数」とはサーバーの台数ではなく、「会計」「販売」などのまとまった役割を果たすサーバー群やプログラム群を1システムと数えた場合の個数を指す。
これを見ると、年商規模が大きくなるにつれてレガシーシステムの数も増えることが分かる。大企業に近づくほど、「レガシー資産をどうするか?」という課題がより深刻であることがあらためて確認できる。