私有端末を業務に活用する「BYOD」(Bring Your Own Device)が注目を集めている。「端末購入費や通信費を抑制できる」「使い慣れた端末の活用で生産性が高まる」「ユーザーは持ち歩く端末を集約できる」といった利点に着目し、導入を検討する企業が増えてきた。そこで今回は、BYODの導入状況を読者モニターに尋ねた。

 結果は、BYODを「認めている」が9.1%、「今後は認める予定」が13.4%、「黙認している」が15.5%となった。約1年前のモニター調査では「認めている」が6.9%、「今後は認める予定」が6.4%、「黙認している」が14.7%となっており、微増(3つ合計で10ポイント増)にとどまった。

Q1. BYOD(私有端末の業務利用)を認めていますか
Q1. BYOD(私有端末の業務利用)を認めていますか

 全体の過半数を占めた「現在も今後も認めない」企業に理由を聞くと、情報漏洩を懸念する声が78件で、回答者(101件)の77.2%を占めた。以下、「マルウエアなどが持ち込まれる恐れがある」が54件、「会社支給の既存端末だけで業務を遂行できる」が50件、「必要な端末は会社で支給する」が44件、「ITインフラ整備の予算や人手が不足」が41件と続く。

Q2. Q1で「認めない」とお答えの理由は何ですか
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 自由記入欄では、セキュリティ面や運用面の問題を指摘する声が目立った。「電車内でメールや資料を閲覧中にのぞき見される恐れがある。仕事の範囲も不明瞭となるため、勤務規定も見直す必要がある」、「社員のITリテラシーが低いと導入できない。当初は黙認していたが、ウイルスの持ち込みや情報システム部門への問い合わせが増加したので禁止した」などである。

 コスト削減についても、「法人の相対契約なら端末費は抑えられ、通信費も個人向けに比べて有利。社員同士の通話も無料にできる。BYODはMDM(モバイルデバイス管理)ツールの導入やサポート負荷の増大などで結局は高く付くのではないか」などと懐疑的な意見が多かった。

回答者のコメントから
 社員の私有端末のスマホ化が進むと、例えば名刺管理のように、アプリで勝手に顧客情報などを管理するユーザーが出てくる。BYODへの流れは止められないだろう。ディレクトリーサーバーと連携したユーザー認証や端末認証、アプリのアクセス制御、紛失・盗難時のロックとワイプ、内線通話、外線の公私分計などの機能をまとめて提供するツールやサービスがあれば有り難い。
●調査概要
調査対象:「日経コミュニケーション」読者モニター
調査方法:日経BPコンサルティングのインターネット調査システムで実施
調査日程:2013年4月22日~5月1日
回答企業数(回収率):382社中187社(49.0%)