ニッポン型アウトソーシングのあり方を考えるうえでは、オフショア開発の動向も無視できない。今回は、オフショア開発の最新動向を解説しよう。

オフショア開発を実施するユーザー企業は減っている

 オフショア開発の主なメリットは言うまでもなくコスト削減だが、ここへ来て、メリットを出せる企業と出せない企業が明確に分かれてきた。メリットが出せない企業の多くは、オフショア開発を打ち切っているため、オフショア開発を実施するユーザー企業の総数は減ってきている。

 実は、オフショア開発でメリットを出せる=コストを削減できるのは、大規模なシステム開発プロジェクトに限られる。ウォーターフォール型で製造工程のボリュームが大きいプロジェクト以外はメリットが出ない。数十人月程度の小規模なシステム開発プロジェクトであれば、日本国内の開発会社に委託したほうがよい。

 以前と比べて、現在はオフショア開発でメリットが出せる大規模プロジェクト自体の数が減っている。このことも、オフショア開発を実施する企業が減っている大きな理由である。

英語圏の国を「情報の窓口」として活用する

 オフショア開発の委託先の選び方にも、変化が見られる。

 これまでは、日本語ができる人材が豊富でコストが安い中国を、オフショア開発の委託先として選ぶケースがほとんどで、英語圏の国に委託することはあまりなかった。日本語ができる人材が少なく、中国と比べるとコスト高だからだ()。

図●ガートナーの選ぶオフショア・ロケーション・トップ30
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 しかし最近になって、英語圏の国を「情報の窓口」として活用する新しい動きが出始めている。例えば、オープンソース(OSS)コミュニティーの情報をいち早く入手したり、先進的なモバイル活用事例にアクセスしたりするために、オフショア開発の委託先としてフィリピンなどの英語圏の国を選択する企業が増えている。

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