政府統計によると従業員数50人未満の企業数は日本全体の90%以上を占める。しかし圧倒的な数を占める中小企業におけるIT活用があまり進んでいないのが実情である。中小企業にはIT部門もIT専任者もおらず、売上規模も大きくないため、IT支出を大きくできない。大きな売上が期待できない中小企業に対し、ほとんどのITベンダーは営業活動の対象外とすることが多く、先進的なITを知る機会も少ないのだ。
例えば、先進ITとして注目されているクラウド・コンピューティングの企業規模別導入率を見ると、大企業中心に導入が進んでおり、中小企業とは大きな差があることがわかる(図1)。
革新の切り札はスマートデバイス
実は最近、この状況が変わる可能性が出てきた。そのトリガーになりそうなのがスマートデバイスである。図2に国内企業におけるタブレット端末の導入率を示す。これを見ると、タブレット端末に関しては企業規模に依存せず導入率が高いことがわかる。スマートフォンも同様の傾向を示している。
同様にインターネット接続環境についても、中小企業でもいまやほとんどの企業で整備されている。導入が進みやすいスマートフォン/タブレット端末、既に整っているインターネット環境、これにクラウドサービスを組み合わせれば、大きな投資をすることなく業務にITを活用できる。工夫次第では、大手企業が活用している最先端のシステム/ネットワークと遜色のない環境を、業績に見合うIT投資だけで手に入れられる。