1.社員の創造性を高めるために、iPad日本発売と同時に、全社員に初代iPadを配布。2013年3月には、初代から第4世代iPadにリプレースを開始。
2.自社の商品情報を映像として全部署に配信するデジタルサイネージシステムを構築。iPadと組み合わせることで、コミュニケーション活性化を狙う。

 遊技機の企画開発・販売を中心に、様々なエンターテインメント事業を手がけるフィールズは、2010年5月にiPadが日本で発売されると同時に、全社員に対して約800台の初代iPadを導入。この3月末には、最新の第4世代iPadへとリプレースを開始した。

 同社が、いち早く全社員にiPadを導入した狙いは、社員のクリエイティビティ(創造性)を高めることにある。仕事の道具であるパソコンとは異なり、ガチガチに管理するのではなく、遊びにも自由に使ってもらう方針を採用した。

 第4世代iPadへのリプレースと同時に、同社の商品やサービスについての知識を全社員に伝えるためにデジタルサイネージシステムも構築。さらに、iPad用のコミュニケーション基盤も開発中だ。今後、デジタルサイネージシステムとiPadのコミュニケーション基盤とを組み合わせることで、社内コミュニケーションの活性化を狙う(表1)。

表1●iPad導入の経緯
2010年5月初代iPadを全社導入開始初代iPadの国内提供開始と同時期に、全社員に対して約800台のiPadを導入。目的は、遊びにも自由に使ってもらうことで社員の創造性を高めること
2010年秋iPadのアプリケーション環境を整備社内の最低限の情報にアクセスできるようにiPad用アプリケーションを新規に開発。メール、ファイルサーバーへのアクセス、顧客からの受注処理などを可能に。さらに、端末管理用にMDMサービス「CLOMO」を導入
2012年秋モバイル通信網と固定電話をKDDIに統合開始これまでのデータセンターやWAN接続に加えて、モバイル網と電話網もKDDIに統合・集約
2013年3月デジタルサイネージシステムが稼働開始会社の商品知識を全社員に提供する仕組みとして、社内で制作した映像コンテンツを全部署全フロア(全国27カ所、約280台)に配信開始
iPadを最新版にリプレース開始最新版(第4世代)のiPadへとリプレース開始(初期配布台数は約1300台)。通信事業者はKDDIに変更(au 4G LTE)。ストレージは最大容量の128Gバイト
2013年5月以降iPad用コミュニケーション基盤を開発開発中のiPad用コミュニケーション基盤ソフトにより、全社員の意見を吸い上げられるようにする。デジタルサイネージで配信した商品情報についての反応も収集

「このデバイスを日本で最初に導入する会社になろう」

 フィールズは、キャラクターなどのIP(知的財産)を取得・創出・育成し、アニメーションや映画、テレビ、ゲーム、SNS、モバイル、書籍などあらゆる分野に多元的に展開するビジネスに注力している。ヒットコンテンツを多メディアで展開することで収益を最大化する戦略だ。

 この戦略では、魅力的なキャラクタやコンテンツを企画・制作することがなによりも重要。そのためには、社員がクリエイティビティ(創造性)を十分に発揮して、新しくて面白いものを生み出していく必要がある。

写真1●フィールズで業務システム部長を務める皆川英司氏(写真左)と、業務システム部の渡邉貴弘氏(写真右)
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 2010年5月に全社員にiPadを配布したのは、遊びにも自由に使ってもらうことで、社員のクリエイティビティを高めることが最大の狙いだ。「2010年1月に米国でiPadが発売された当時、このデバイスを日本で最初に導入する会社になろう、と決めていた」と、同社で業務システム部長を務める皆川英司氏(写真1)は振り返る。「今までにないデバイスだった。直観的に、誰でも簡単に使うことができて、きれいで速い。これを社員に使ってもらいたかった」(皆川氏)。

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