2012年度のICT投資は、6割以上を「既存システムの維持・運営」に費やしていた。しかし、今後の投資意欲を尋ねたところ、「既存システムの維持・運営」への投資を抑え、「新たなビジネスに関わるICT投資」や「既存ビジネスの拡大に関わるICT投資」を増やしていくという。ビジネスイノベーションの領域へ投資したいと考えているわけである。
既存システムの維持・運営に63.0%、既存ビジネスの拡大に23.8%、新たなビジネスに13.2%---。これが2012年度における企業のICT投資の内訳だ(図1-1左)。では今後はどの分野に投資したいのか。その投資意欲を点数化したものが図1-1の右である。
事業拡大・新規事業へICT投資
図に示した投資意欲は、各分野の投資を「大きく増加」~「大きく減少」の5段階で尋ね、それぞれに「2点」~「-2点」を与えて算出したもの。プラスの数字になれば今後増やしたい意向であることを、マイナスの数字なら減少意向であることを意味する。
「新たなビジネスに関わるICT投資」(41.6)と「既存ビジネスの拡大に関わるICT投資」(29.0)はいずれも増やし、「既存システムの維持・運営に対するICT投資」(-27.8)は減らす。ICT投資の過半が既存システムの維持・運営に費やされている状況を打破し、ビジネスイノベーションの領域へ投資したいと考えているわけだ。
これらは、日経BPコンサルティングが2013年3月に実施した「ビジネスとICTに関する調査」の結果である(調査概要と回答者プロフィールは記事末に掲載)。同調査では、ICTを利活用するビジネスイノベーション領域、実現に当たっての課題、既存システムの問題などを調べた。
そこからは、イノベーションの推進にICTを積極的に使いたいという意識や、レガシーシステムが足かせになっている状況が明らかになった。また、イノベーションの対象領域や必要なICT、既存システムの課題について、経営企画や企画・マーケティングといっ た経営系部門と情報システム部門の間に意識のギャップが存在することが浮かび上がってきた。次回以降、それらを順に紹介していこう。