急速な円安の進行や日中関係の悪化といった抑制要因はあるものの、中堅・中小企業においても海外進出への取り組みは続いている。図1は年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、海外へのビジネス展開状況(拠点を設けて製品/部品の製造を行ったり、それらを流通させたりする取り組み)を尋ねた結果である。
上記の調査は2013年4月に実施したものだ。年商5億円未満の小規模企業の海外進出はごくわずかだが、「既に海外向けにビジネスを展開済み」と回答した企業の割合は年商5億円以上~50億円未満の中小企業層で2割、年商50億円以上~500億円未満の中堅企業層では3~4割に達していることが分かる。国内の少子高齢化や新興国の経済発展を考えると、中堅・中小企業において、海外進出は今後無視することのできない取り組みと言えるだろう。
海外進出に伴うIT活用は、大企業におけるグローバル対応事例などを中心に語られることが多い。だが、企業数の上で大半を占める中堅・中小企業が海外へ進出する際のIT活用は大企業のそれとは異なり、必ずしも「グローバル化」を意味するものではない。本稿ではそこに焦点を当てて、最新の調査結果や海外展開におけるITソリューションを提供するSIerの取り組みなどを交えながら、中堅・中小企業の海外進出おけるIT活用成功のポイントを考えていくことにする。