ソーシャル、モバイル、クラウド、インフォメーションという4つの力の組み合わせ(結節点)である「Nexus」が、エンタープライズITに破壊的なインパクトを与えつつある。これは、CRMの分野でも同様だ。Nexusが“顧客情報革命”を起こす「原動力」となっている。
クラウド型ソーシャルメディア解析サービスはその一例だ。SAPの「SAP Social Media Analytics by NetBase」や米クリムゾンヘキサゴンの「Crimson Hexagon ForSight Platform」といったクラウド型ソーシャルメディア解析サービスを利用すれば、膨大な数のSNSユーザー=サイレントマジョリティのレスポンスを、情報として収集できるようになる。
従来も、コンタクトセンターを通じて、顧客のクレーム情報は入ってきたが、クレーム以外の情報を収集するのは難しかった。クラウド型ソーシャルメディア解析サービスを利用すればクレーム以外にも、「不快感」や「無関心」といった様々な顧客レスポンスを収集できる。こうした情報を分析することで、より高度な「顧客インサイト」を獲得できる。これは、今までできなかったことだ。Nexus(ソーシャルとインフォメーション、クラウドの組み合わせ)が、CRMに革命をもたらした好例と言えるだろう。
サイクルを多重的に速く回す
図に示すように、CRMでは、(1)意思決定を行い、(2)製品改良や新製品発表などの施策を実行したうえで、(3)顧客(既存顧客と見込み顧客)のレスポンスを収集・分析し、(4)それをフィードバックして再び意思決定に戻る、というサイクルが存在する。
今後、必要なことは2つある。1つは、サイクルを回すスピードを速くすることだ。企業の意思決定のスピードが速ければ、その分クレームが減り、役に立つ顧客レスポンスが増える。その結果、さらに高度なインサイトが獲得できるようになる。
もう一つは、複数の顧客セグメントやチャネルごとに、同時並行的に多重的にアプローチすることだ。世の中には、様々な顧客がおり、それぞれの顧客が利用するチャネルは、テレビや電話、コンタクトセンター、電子メール、モバイル、SNSなど、非常に多岐にわたる。
こうした状況で、正しい顧客情報を収集するためには、セグメント別に(性別、年齢別など)、最適なチャネルで、それぞれのニーズに合わせてアプローチする必要がある。従来の「マス的なキャンペーン」では対応できない。