徹底した情報漏洩対策と、一元的なクライアント管理の実現に向けて、グローバルの全端末を対象に、仮想デスクトップ環境への移行を提案する(表1)。端末にはユーザーデータは残らず、また起動するたびに最新の設定が反映される。
仮想デスクトップは米シトリックス・システムズのXenDesktopを採用し、現在利用しているデータセンターにシステムを構築、運用する。ユーザー属性の要件に合わせ、Type 1とType 2のユーザーには32ビットWindows 7、5ユーザー/コア、メモリー2Gバイトを割り当て。Type 3には64ビットWindows 7、2ユーザー/コア、メモリー4Gバイトを割り当てる。
システムは、端末機能を動作させる仮想デスクトップ(VDI)サーバー、動作させるOSやアプリケーションのクライアントイメージを管理するプロビジョニングサーバー(PVS)、SQL Serverなどの各種管理サーバーで構成(図1)。VDIサーバーがPVSから仮想ディスクイメージを取得し、端末に画面データを配信する。VDIサーバーは、1台で最大80の仮想デスクトップを動作させる構成で、ハードウエアは全部で70台。VDIサーバー13~14台とPVS3台を単位にセグメントを分ける。
高価なSAN構築を回避
本提案では、応答性能の確保とストレージ費用の抑制を目的として、仮想ストレージソリューション「VDIストレージ・ブースター」を併せて利用する。VDIストレージ・ブースターは、複数の仮想デスクトップからのI/O要求を受け取り、まとめてディスクI/Oを実行する。I/Oを高速化することでサーバー内蔵ストレージをキャッシュとして利用できるようになる。これにより十分な応答性能を確保できるため、仮想デスクトップのユーザーデータを保存するストレージとして、高速だが高価なSANではなく、ファイルサーバー(iSCSI利用)を設置すれば済む。SANを使わないことで2億円程度のコスト削減効果を見込める。
クライアントPC、スマートデバイス、シンクライアントサーバー環境の運用はICTライフサイクル管理(LCM)サービスにて対応(図2)。端末の手配、廃棄、ヘルプデスクなどをワンストップで提供する。専任LCMマネジャーが現行の管理・運用プロセスを確認したうえで、今後の運用プロセスを構築する。