「OpenDaylightプロジェクト」の発足を、米Linuxファウンデーションが2013年4月に発表した()。同プロジェクトは、ネットワークの構成や機器設定をソフトウエアで集中制御するSDN(ソフトウエア・デファインド・ネットワーキング)の業界標準ツールを、OSS(オープンソース・ソフトウエア)として開発・公開していくものだ。

図●OpenDaylightプロジェクトの概要
ネットワーク機器を制御する「SDNコントローラー」などのソフトウエアをオープンソースとして開発する
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 同プロジェクトには、米IBMや米シスコシステムズ、米ジュニパーネットワークスなどのネットワーク機器ベンダー、米ヴイエムウェアや米シトリックス・システムズ、米マイクロソフト、米レッドハットといったソフトウエアベンダー、NECや米ビッグ・スイッチ・ネットワークスなど「OpenFlow」の製品開発を進めるベンダーが参加。ネットワーク機器を制御する「SDNコントローラー」などのOSSを開発する。

 OpenDaylightプロジェクトの狙いは、「商用で使えるSDNのOSSを作ること」(NEC 企業ネットワーク事業部長代理の渡辺裕之氏)。つまり製品間の相互運用性を早期に高めることだ。複数ベンダーが協力してOSSを開発し、これをベースに個々の製品を揃える。SDNを導入するユーザー企業が特定ベンダーにロックインされるリスクが軽減する。

 SDNのプロトコル規格をネットワーク機器のユーザー企業が策定し、それに沿ったOSSをベンダーが呉越同舟で開発する流れが整ったとも言える。プロトコルであるOpenFlowの規格は、米グーグルや米フェイスブック、独ドイツテレコム、NTTコミュニケーションズといったサービス事業者や通信事業者などユーザーだけで役員を構成する「オープン・ネットワーキング・ファウンデーション(ONF)」が策定している。

 今後は、SDNコントローラーなどのソースコードを2013年第3四半期以降に公開する予定。シスコがSDNコントローラーを、NECが「VLAN」のようなネットワーク仮想化を実現するアプリケーション「仮想テナントネットワーク」を、それぞれOSSとして公開する予定となっている。