言うまでもなく、企業がひとたび意思決定に失敗すると、ひどい目にあう。公共性のある企業の場合は、意思決定の失敗が企業の中だけではなく社会全体に悪影響を及ぼすこともある。

 昔の意思決定は、成功体験に基づいた「勘と経験」に頼っていた。ところが、勘と経験は、時代が変わるとうまくいかなくなる。過去の成功体験が通用しなくなるからだ。

 やはり、正しい意思決定のためには、事実に基づいた情報分析が欠かせない。正しい情報があっても、過去に強烈な成功体験があると意思決定が曇ってしまいがちだが、ストレートに真摯に事実に向かい合う姿勢が大切である。

ビッグデータで、意思決定の精度が上がる

 最近は、意思決定のための情報として、「ビッグデータ」が利用できるようになってきた。これまではサンプル調査を統計処理する必要があったが、ビッグデータでは全数調査が可能になる。

 ビッグデータは、人間の能力を超えた情報量になるので、コンピュータの力を借りる必要があるが、分析の精度はこれまでよりも格段に上がっているので説得力も増す。これは、一種の「革命」と言える。精度が上がり説得力が増すので、意思決定の「曇り」を取り払う効果も期待できる。

 ビッグデータを利用した意思決定の例としては、クイズ番組でチャンピオンを破った米IBMの質疑応答システム「ワトソン」を使った、医師の診断支援システムが挙げられる。医療の最新情報をワトソンが学習し、治療法を提示する。

 医療の最新情報は日々増えており、診断に必要な情報の量は、すでに人間の能力を超えている。ワトソンが医師に代わって膨大な量の情報を学習・分析することで、医師が正しい意思決定を瞬時に行えるようになる。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。