ビッグデータの価値を引き出すには、それを分析する「場所」が重要だ。システム部門や調査部門などに閉じこもっているようでは、ビジネスの勝機はつかめない。事業に直結しない、単なる「数字遊び」に陥ってしまう可能性があるからだ。ビッグデータの活用企業は、現場感覚があふれる事業の最前線で、ビッグデータを分析・活用している。

ゲーム開発の現場で分析

X-Function部 分析グループの友部博教グループリーダー(左)、分析基盤部の山田憲晋部長

 ビッグデータの活用を推進するために、組織改革を断行したのがディー・エヌ・エー(DeNA)だ。2012年4月、データマイニング部に所属していた分析担当者を、ゲーム開発などの最前線であるソーシャルゲーム事業本部とソーシャルプラットフォーム事業本部に転属させた(図4)。

図4●DeNAのビッグデータ活用体制
データマイニング部に所属していた分析担当を2012年4月から事業部門に転属。
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 「事業で素早く効果を出すためには、ゲームの企画・開発現場でビッグデータを分析する必要がある」と、ソーシャルゲーム事業本部X-Function部分析グループの友部博教グループリーダーは語る。ソーシャルゲーム事業では、ゲームタイトル一つひとつに専任の分析担当をアサイン。企画担当などと机を並べて、ゲームの開発・運営にあたっている。

 友部グループリーダーなど分析担当者のミッションは、「ユーザーが面白いと感じているかどうかの指標を作り、モニタリングすること」。ゲームのアクセスログや行動ログなどのビッグデータから、ゲームに役立つ指標を導き出す。それらを基に、ゲームのシナリオやイベントを企画する。

 2012年4月の組織改革では、ビッグデータの分析システムを構築・運用する専任部門であるグローバルプラットフォームシステム統括部分析基盤部も新設した。約2ペタバイトにのぼるゲームのログデータを、約1500コアのHadoopクラスターで運用する。このシステムに蓄積されたビッグデータを、分析担当者がHadoopの操作言語である「Pig」や「Hive」を使って解析する。

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