データセンターを国内に限定するなどのセキュリティ要件を勘案し、プライベートクラウドを使うソリューションを提案する(表1)。大規模なパブリッククラウドに比べると耐障害性が劣る点については、ディザスターリカバリー(DR)サイトを設けることで対処する(図1)。
出店先である仮想店舗(インターネットモール)の運用元であるA社あるいはB社がプライベートクラウドの基盤を持ち、取引先に基盤を提供していれば、これを利用する。どちらにも基盤がない場合、または外部提供していない場合は、当社のデータセンター(東京都および福井県)にXYZ社のプライベートクラウド基盤を新たに構築する。
移行に際しては、分析業務のワークロードが走っていない状態を見計らって切り替える。こうすることで、システム停止時間を最小限に抑える。
スケールアウト意識しハードを選択
具体的なシステム構成としては、スケールアウトが容易な米シスコシステムズ製のサーバー「Cisco UCS」(UCS:Unified Computing System)と、最大360T(テラ)バイトまで拡張できる米EMC製のストレージ「VNX5300」を採用する。分析業務が集中する月初の対策としては、サーバーの処理能力に余裕を持たせると同時に、仮想マシンの配置を最適化する。
本提案の最大の特徴はストレージの提供方法で、従量課金を適用することである。具体的には、最初は20Tバイトのドライブを搭載。初期費用は10Tバイトの基本構成分とする。その後、10Tバイトを超えた分について、利用容量に応じて月々課金する。
この課金方法により、データの増加ペースに合わせて費用を負担すれば済むため、効率的に投資できる。ビッグデータの場合は長期にわたる運用が想定され、従量課金では毎月金額が上がるとともに、ランニングコストがかさんでいく。それでも、高額のストレージを足していく場合よりもコストを抑えられると考える。
ソフトウエアとしては、大規模データを効率的に分散処理・管理するのに向くキーバリュー型データストアのミドルウエア「Hadoop」を利用。データの分析には、既存のデータウエアハウス(DWH)およびBI(Business Intelligence)ツールを流用する。
DRサイトへのデータ複製には、VNXシリーズの遠隔データ複製機能を利用。WAN経由のデータ複製を高速化するとともに、必要な応答性能を得られるよう、プライベートクラウド、A社、B社、C社のそれぞれにWAN高速化装置(米リバーベッド製の「Steelhead」シリーズ)を併せて提供する。
なおDRサイトの運用に関しては、遠隔地に人材を派遣できないケースを想定し、遠隔運用支援サービスを併せて提案する。