高性能サーバーから廉価サーバーまで幅広く対応し、事実上の寡占状態にあるインテルのプロセッサ。その間隙を突く形で、非インテル製プロセッサの挑戦が始まった。米IBMを中核とする高可用性サーバー向け高速プロセッサ陣営と、英アームを中心とする省電力プロセッサ陣営が、インテルをはさみ込むように攻勢をかける。新たな陣取り合戦の実態を探る。

 サーバー向けプロセッサ市場の寡占状態を崩せ――。米IBMや英アームなどが米インテルに真っ向勝負を挑んでいる。従来のようなすみ分けでなく、プロセッサの陣取り合戦が始まった(図1)。

図1●相次ぎ登場する非インテル製プロセッサ
図1●相次ぎ登場する非インテル製プロセッサ
インテルのXeonプロセッサがカバーする領域の外から勝負を挑む

 非インテル勢は、インテルの戦略にほころびが生じているか、手薄になっている分野を重点的に攻める。前者の例は、高可用性が求められる基幹系システム向けプロセッサだ。インテルの基幹系システム向けプロセッサであるItaniumは失速状態。米IDCによれば、Itaniumサーバーの出荷金額は2009年は40億ドル(3100億円)だったのに対し、2011年は30億ドル(2300億円)に落ち込んだ。

 インテルはXeonプロセッサの上位版E7シリーズの高可用性機能を高めItaniumの穴を埋めようとするが、その間にIBMなどは着実に処理性能を高めていった。

 後者の例は省電力サーバー向けだ。インテルが消費電力10ワット以下の領域をカバーできていない間に、「10ワット以下」をうたい、アームの小規模・省電力コア(スモールコア)を搭載したARMプロセッサが相次ぎ登場した。

両極端の路線で攻める

 打倒インテルを目指すプロセッサベンダーやサーバーベンダーの戦略は大きく二つある(図2)。一つは、プロセッサやサーバーの単体性能を限界まで引き上げる「ハイパースケールアップ」。基幹系システム向けプロセッサを提供するIBMやオラクル、富士通は、この戦略を採る。

図2●「ハイパースケールアップ」「ハイパースケールアウト」の用途と対応ベンダー
前者は基幹系システムや高速分析システム、後者はフェイスブックやグーグルなど大手大規模データセンター事業者を狙う
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 もう一つは、省電力に優れるスモールコア型のプロセッサを高密度に集積させる「ハイパースケールアウト」だ。省電力サーバー向けプロセッサを提供するARM勢がこの戦略を採る。「ここ1~2年で、スケールアップとスケールアウトのどちらに投資するか、ベンダーの色分けが明確になってきた」とガートナー ジャパンの亦賀忠明最上級アナリストは語る。

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