企業においてクラウド・コンピューティングの活用機会は、着実に増加する傾向にある。しかし、システムのサイロ化やシャドウITなど、クラウドに起因する課題を抱える例も少なくない。本連載では、クラウド基盤への移行を検討する企業が十分な価値を享受するために求められる統合シナリオのあり方について考察する。

 クラウド基盤の保有形態は大きく「プライベート」と「パブリック」に分けられる。企業は、ソーシング戦略を立案して、経営/事業方針に合致したIT資源の保有形態を定める必要がある。これにはTCO(総所有コスト)評価も重要な判断材料となる。

 企業が現在どのようにクラウドを活用し、将来どうすべきかは多くのCIO(最高情報責任者)やITマネージャの関心事である。クラウド化を推進するにしても、プライベートクラウドとパブリッククラウドのどちらが有益かの判断が求められる。そこで、まずはクラウド適用の現状と将来動向について見てみよう。図1は、会計システムを例にとった調査結果である。

図1●システムの構築・運用形態(会計システムの例)
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 会計システムの構築・運用形態としては、非クラウド環境が現在の主流である。だが、図1によると、非クラウド環境の会計システムは将来大幅に減少することになる。一方、プライベートクラウド、パブリッククラウドは、いずれも一定数の導入が見られ、適用率は増加傾向にある。運用についても、自社で運用するか、アウトソーシングするかの選択が発生する。

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