クラウド上に構築したシステムと社内システムの間でデータ連携を行いたい。このニーズが、米Salesforce.comのクラウドのユーザー企業を中心に高まっている。そこで注目を集めているのが「データ連携SaaS」。これを使えば、新たにサーバーを設置することなく、データの抽出、加工、転送を行える。
「クラウドと社内システムをデータ連携させたいというニーズの高まりは想定以上だ」。データ連携ソフト「HULFT」を開発するセゾン情報システムズの内田和弘氏(HULFT事業部 副事業部長)はこう言って驚く。
内田氏によると、2011年後半から、このデータ連携のニーズが急速に高まってきているという。データ連携ニーズは、「特に米Salesforce.comのクラウドサービスのユーザー企業の間で高い」(内田氏)。
Salesforce.comは、クラウドの草分けであり、日本でも利用実績が既に数年に及ぶユーザー企業が少なくない。利用実績が長いということは、それだけ多くの業務データをクラウドに蓄積していることを意味する。
Salesforceのクラウドに蓄積している業務データとは、例えば商談履歴や顧客情報といった営業系の情報である。クラウド上にあるそうした重要な業務データを、社内システムに取り込み積極的に活用する。この動きが広がるのは必然といえる(図1)。
社内からクラウドへの連携も
クラウドから社内システムに業務データを取り込むのは、データ連携のパターンの一つにすぎない。これとは逆に、社内システムの業務データをクラウド上のシステムに送って活用する動きも始まっている。
例えば、従来のExcelシートの置き換えとしてクラウド上に構築した「予算登録システム」を使っているうちに、予算データだけでなく実績データも同じ画面で管理したいという要望が利用部門で生まれる。つまり予算登録システムの機能を強化して「予算・実績管理システム」に発展させようというわけだ。その際、実績データは社内の基幹系システムで管理しているので、そこから抽出してクラウドに送ることになる。
このように、クラウド上に構築したシステムの機能強化を進めるのに伴い、社内システムの業務データをクラウドに送る必要も生じている。典型的なのは、上記のようなExcelシートやLotus Notesなどを置き換えた単純なシステムを機能強化するケースだが、それだけではない。代理店や販売/仕入先など重要な取引企業との協業関係を深めるため、クラウドのシステムを通じて製品や在庫といった業務データの提供を強化する動きもある。