米セールスフォース・ドットコムは、サービスやエコシステムの強化を目的に買収や投資を進めている。日本においても、同社のPaaS「Force.com」を利用してサービスを提供するチームスピリットや日本技芸(関連記事:Force.comが業務システムの“作り”を変える、アプリベンダーのエコシステムを後押し)との資本提携、2012年12月6日に開催された同社のイベント「Cloudforce Japan」(関連記事:「真のカスタマーカンパニーを目指せ」、セールスフォースのマーク・ベニオフCEO)に併せて発表されたソーシャルメディアのモニタリングや分析技術を提供するホットリンクへの投資などを展開。同社でM&Aや投資を含む企業戦略を統括する企業開発・戦略担当シニア・バイスプレジデントのJohn Somorjai氏に聞いた。

(聞き手は、大谷 晃司=ITpro

セールスフォースはこれまで(ソーシャルメディア分析の)Radian6や(PaaS運営事業者の)Herokuなどを買収してきた(関連記事1関連記事2)。買収に際しての判断基準は。

米セールスフォース・ドットコム 企業開発・戦略担当シニア・バイスプレジデントのJohn Somorjai氏
米セールスフォース・ドットコム 企業開発・戦略担当シニア・バイスプレジデントのJohn Somorjai氏

 買収案件に関しては、成長の可能性を有しているところ、技術革新をしている会社をまずは選んでいく。そうした会社を買収することでその会社の技術だけでなく、人材、アントレプレナーシップの精神をもった人々をセールスフォースに組み入れることができる。彼らの技術とセールスフォースの技術を組み合わせることで、さらにすばらしい製品を世に送り出せる。

 我々がまず照準を合わせるタイプの企業は、我々が既に製品を顧客に提供している領域の企業だ。すなわち「Sales Cloud」「Service Cloud」「Marketing Cloud」「Work.com」「Chatter」といったサービスを提供していたり、プラットフォーム系の技術を持つ成長余力のある会社を探していく。

最近は企業におけるソーシャルネットワークの活用を積極的に打ち出し、関連企業を買収している。

 我々が重視しているのは「ソーシャル」「モバイル」そして「クラウド」だ。セールスフォースが掲げるミッションは、顧客とエンドユーザー、従業員、パートナー、そしてこれまでになかった形で製品とつなげていくことだ。それらを具現化するための主な技術は何かという観点から常に対象企業を探している。その一例がRadian6であり(Facebookを利用した販促支援サービスを提供する)Buddy Mediaだ(2012年6月に買収を発表、8月に完了)。

 我々は本来、CRMに特化した会社だ。セールス、サービス、マーケティングを包含している点でRadian6の買収は自然な流れだった。そして、さらにBuddy Mediaの買収によって、ソーシャルマーケティングとセールス、サービスをつなぎ合わせることができるようになった。我々が描く包括的なCRMのビジョンを具現化できた。

プラットフォームを提供するHerokuはどのように位置づけられるのか(関連記事)。

 我々はプラットフォームとしてForce.comを持っており、企業がエンタープライズアプリケーションを作り上げる環境を提供している。Force.comの場合、そのアプリケーションは従業員向けが中心だ。一方Herokuはオープンプラットフォームで言語の依存性がない。ソーシャルアプリケーションを作るためのプラットフォームとしても優れている。そういう点では顧客向きと言え、両プラットフォームは補完関係にある。

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