富士通の「NetCOBOL V10.5」は、Hadoopと連携してバッチプログラムを並列分散実行できるCOBOL開発・運用ソフトである。最大の特徴は、NetCOBOLあるいは他社のCOBOL処理系で開発した既存プログラムを書き換えることなく再コンパイルするだけで並列分散実行できること。この結果、バッチ処理時間を大幅に短縮できる。

 NetCOBOLは、Apache Hadoopを基に独自の分散ファイルシステムを搭載した並列分散処理ソフト「Interstage Big Data Parallel Processing Server」と組み合わせると、最大の効果を発揮する。同社の実測によれば、128Gバイトのデータを16多重で集計した場合、従来のバッチ処理に比べて処理時間が約18分の1に短縮された。また、Apache Hadoopと組み合わせた場合でも、処理時間が約3分の1に短縮されたとしている。

NetCOBOLとHadoopの連携によるバッチ処理時間短縮。128Gバイトのデータを16多重で集計した(出典:富士通)
NetCOBOLとHadoopの連携によるバッチ処理時間短縮。128Gバイトのデータを16多重で集計するのにかかった処理時間の比較(出典:富士通)

 Hadoopの分散処理フレームワーク「MapReduce」とCOBOLのデータ形式は異なるが、データ変換機能の追加によって、COBOLのデータをそのままMapReduceで扱えるようにした。また、Hadoopは基本的に一つのファイルを使用する方式をとっているが、複数入力変換機能を追加することで、複数ファイルを使用するCOBOLアプリケーションでもHadoopを利用できるようにした。

 動作環境については、オンプレミスのほか、同社のパブリッククラウド「FGCP/S5」および米Amazon Web Services(AWS)の「Amazon EC2」「Amazon EMR」で動作を確認済み。このうちFGCP/S5ではオプションサービスとして月額料金制で提供する。また、Amazon EC2とAmazon EMRに関しては2013年1月から対応する予定。

NetCOBOL V10.5の概要
主な機能Hadoopと連携してバッチプログラムを並列分散実行できるCOBOL開発・運用ソフト。オンプレミスのほか、パブリッククラウド環境でも動作する
動作環境■サーバー:Red Hat Enterprise Linux 5/6、Oracle Solaris 10/11、Windows Server 2003/2003 R2/2008/2008 R2/2012
■クライアント:Windows XP/Vista/7/8
■クラウド:FGCP/S5、Amazon EC2とAmazon EMR
価格(税別)■Linux版Enterprise Edition運用パッケージ:128万円から
■Linux版Enterprise Edition開発・運用パッケージ:168万円から
■FGCP/S5オプションのEnterprise Edition運用パッケージ:6万4000円/月から
■FGCP/S5オプションのEnterprise Edition開発・運用パッケージ:8万4000円/月から
発表2012年12月5日
出荷開始2012年12月5日