ユーザー企業にとってオープンソースソフトウエア(OSS)はとても身近な存在になった。ただし、OSSを活用してコストを最適化しようとすると、OSSについての正しい理解が必要になる。
なお、ガートナーによるOSSの定義は、OSI(Open Source Initiative)の定義と同じだ。昨今、「オープン標準」「オープンアーキテクチャ」「オープンデータ」などのように、“オープン”が付く言葉が巷に溢れているが、混同しないよう注意して欲しい。
数年前と比べて、大きく変化したOSS
OSSを取り巻く状況は、数年前と比べて大きく変化している。例えば、最も成功したOSSであるLinuxも、数年前と今とでは状況が異なる。従来Linuxは、x86サーバーにプリインストールされた形で出荷されていたために、Linuxの出荷本数はサーバーの出荷実績に依存していた。現在では、サーバー仮想化が浸透したために、「Linuxの出荷本数=サーバー出荷台数」ではなくなっている。
OSSのメジャーベンダーも、数年前と今とでは変化している。実際、企業向けでは最大手のLinuxディストリビュータであるRed Hatは、今や仮想化やクラウド事業など、Linux以外の「BEYOND LINUX」事業に注力している。
マイクロソフトやヴイエムウェアなどの主要なソフトウエアベンダーやハードウエアベンダーが、OSSコミュニティ(例:OpenStack)に貢献するなど、活発にOSS活動を行うようになってきたことも、大きな変化だ。以前のような「商用ベンダー対OSSコミュニティ」という単純な対比は、意味を成さなくなりつつある。
さらに、OSSがカバーする領域も、数年前と比べると格段に広がった。
図に、OSSのハイプサイクル(技術やサービスに関する期待度と成熟度を表した曲線)を示した。これを見ても今やOSSは、DBMS、アプリケーションインフラストラクチャミドルウエア、オフィス製品、仮想化、BI、CMS、EC、MDMなど、極めて幅広い領域をカバーしていることがお分かりいただけるだろう。