この連載では、市場で話題の製品・サービスとその主要ベンダーを取り上げて、「ユーザー企業は、ベンダーとチャネルをどう見極めるべきか?」という観点から解説している。

 今回は誰もが知っている「勘定奉行にお任せあれぃ!」のOBC(オービックビジネスコンサルタント)を取り上げる。日本の中堅・中小企業向け業務パッケージでは知らぬものがいない「勘定奉行」のOBCである。ノークリサーチが毎年実施している「中堅・中小企業のITアプリケーションの導入実態調査」では、主要な業務パッケージで数多くがナンバーワンのシェアを誇っている。競合が厳しい業務アプリケーションで同社がなぜ首位を保てるのか、またユーザー企業はなぜ同社を支持するのかを分析する。

55万社のユーザーを抱える奉行シリーズ

 OBCが創業したのは今から約30年ほど前の1980年だ。当時は、ようやくパソコンが世の中に出回り、企業でもパソコンが使われるようになり始めた時期。いわゆるオフコンによる業務システムが主流で、中小企業でも会計業務のコンピューター処理が注目されつつあった。

 そんな中、OBCは会計業務をパッケージ化したパソコンソフトを開発した。ユーザー企業が会計業務を自前のパソコンで処理することに注目したことが参入のきっかけとなった。

 当時は、この連載で以前取り上げたオービックが会計を中心にオフコンで業務システムを扱い始めた時期であり、大塚商会がオフコンそしてNECのパソコン「PC-9800シリーズ」、業務システムのパッケージ「SMILEα」を企業へ提案し始めた時期である。

 小型コンピューターで業務処理を実現するためには、業務パッケージが不可欠であり、まさに時代の要請を見越しての事業参入と言える。

 現在奉行シリーズは55万社のユーザーに導入されている。企業合併・統合、清算などで相殺される件数もあって、ここ数年のユーザー数は55万社と発表されているが、圧倒的なユーザー資産がありながら、現在も着実に新規導入されている。

 奉行シリーズは、小企業、SOHO向けの「奉行Jシリーズ」、中小企業向けの「奉行iシリーズ」、中堅企業向けの「奉行V ERP」に大別される。実績としては、圧倒的に「奉行iシリーズ」が多く、全体の90%を超えている。ここでの主力製品は「勘定奉行」になる。

 「奉行V ERP」は、いわゆるERPパッケージである。SIer、ハードベンダー系販売店での販売実績が多いのが特徴だ。

【OBCの企業概要】
設 立:昭和55年12月(1980年12月)
資本金:105億1,900万円
代表:和田 成史
社員数:604名(平成24年3月31日現在)(男400名 女200名)
売上高:171億23百万円 2012.03期

表1●OBC単体の業績推移(単位:百万円)
 2009年
3月期
2010年
3月期
2011年
3月期
2012年
3月期
2013年
3月期(見込)
売上高16,26715,74817,21017,12317,300
前年比-7.30%-3.20%9.30%-0.50%1.00%
営業利益4,5586,4418,0297,8157,930
営業利益率28.00%40.90%46.70%45.60%45.80%
経常利益5,3067,5978,8848,9779,130
従業員数(人)587635609604 
一人当売上高27.724.828.328.3 
一人当営業利益7.810.113.212.9 
一人当経常利益91214.614.9 

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