プライベートクラウドを構築する動きが中堅中小にも広がってきた。セルフサービスポータルや管理機能を盛り込むことは容易になった。しかし、“身の丈”を見極めなければ値段に見合わない。スモールスタートと運用コストの抑制が成功の秘訣だ。
クラウドの基盤製品、仮想化ソフトの価格競争が激しい。仕掛けたのはレッドハットだ。
ハイパーバイザー「KVM」をベースにした「RHEV(Red Hat Enterprise Virtualization)」を、サブスクリプションライセンスで、1CPU(ソケット)当たり年間9万7400円に設定。2ソケットのサーバー4台構成で、初年度のソフト費用を比較すると、ヴイエムウェアの「VMware vSphere」が165万4400円、対するRHEVは77万9000円だ(表)。
マーケティング本部の石井明プロダクト・マーケティング・マネージャーは「エンタープライズ分野で、ヴイエムウェアに代わる選択肢になりたい」と意気込む。
ヴイエムウェアは、vSphereの方がRHEVより統合率が高いと主張する。より多くの仮想マシンを稼働できるので、サーバー台数が少なくて済むという。
一方、マイクロソフトは、次期サーバーOS「Windows Server 8」で仮想化ソフトを「Hyper-V 3.0」に刷新。OSと一体提供するコストメリットはそのままに、スケーラビリティを強化している。
「身の丈クラウド」のススメ
「わずか6台のサーバーでセルフサービスポータルを作る例もある」(日本マイクロソフト プライベートクラウド製品部の柿本岳文氏)。中堅中小が動き出し、スモールスタートの要望が増えている。
それに伴い、構築、運用のコストをいかに抑えるかが焦点になってきた。どんな機能を持ったプライベートクラウドを、どれくらいのコストで作ればよいのか。“身の丈”を探っていこう。