中小企業向けのクラウドサービスは、前回紹介したグループウエアにはとどまらない。日々の営業活動や人事管理、経費精算といった業務を補助するためのクラウドサービスが数多く登場している。

 代表例と言えるのが、米セールスフォース・ドットコムの「Sales Cloud」だ。Sales Cloudは営業支援業務のためのアプリケーションである。同社が提供するアプリケーション群「Salesforce CRM」の中でも中核に位置するもので、見込み客や商談の管理、売上動向の分析など、営業活動を効率化する機能が組み込んである。同社は、業界に先駆けて企業向けの業務アプリケーションをクラウド形式を提供し始めたことで有名だ。

 その後を追うように、さまざまな業務アプリがクラウド形式で提供されている。国内では、企業向けの会計業務や精算業務用のクラウドサービスも登場している。

 「ネットde会計」はパイプドビッツが提供する、会計業務のクラウドサービスである。伝票入力から決算書作成までを一貫して実施できる。1契約当たり5ユーザーまで同時に利用できるので、繁忙期などに複数の経理担当者が同時にデータを入力することも可能だ。このほか、中小企業や個人事業主をターゲットにした会計ソフト大手の弥生も、2012年9月にも会計向けクラウドサービスを開始する。仕訳など会計知識がなくても日報を書くイメージでデータを入力。その内容を自動仕訳するという。

 「楽楽精算クラウド(ASP)版」は、ラクスが提供する交通費などの経費精算業務を担うクラウドサービス。社員からの経費申請、管理職や経理部門での承認、申請内容の自動仕分け機能などを備える。興味深いのが、乗り換え案内システムと連携していること。電車やバスなどの運賃を自動的に計算してくれるので、入力や確認の手間が省ける。

 ここでは、クラウドサービスの先駆けとなったセールスフォースのSales Cloudを例に、業務系クラウドサービスの利用イメージと、導入によって期待できるメリットについて見ていこう。

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