ベストサービス編では、企業利用の観点から優れた特徴を備えたクラウドサービスと、そのサービスを提供するベンダーを選出した。2012年7月末時点で顧客に提供可能なサービスを、ランキングの対象とした。
最初にIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)やPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)などのクラウド基盤サービス部門を紹介する。
同部門では、ハードリソースやソフトリソースなど9分野43項目の評価を行った。今回から「顧客がリソースを専有可能かどうか」「分散処理ミドルウエア/NoSQLが利用可能かどうか」「互換性のあるクラウドを他社が提供しているか」「稼働状況の定期的な報告をしているか」といった評価項目を追加した。
クラウド基盤サービス分野でベストサービスに選出されたのは、NTTコミュニケーションズやIDCフロンティア、アマゾン データ サービス ジャパンなど11社である(表1)。
総合スコアが最も高かったのは、NTTコミュニケーションズの「Bizホスティング」で、70.4ポイントを得た。これに僅差で続いたのが、IDCフロンティアの「IDCフロンティア クラウドサービス」、アマゾン データ サービス ジャパンの「Amazon Web Services」である。
上記3社のサービスはいずれも9分野のうち8分野で満点を得た。第4回は9分野中8分野で満点を得ていたサービスはAmazon Web Servicesだけだったが、今回は三つに増えた。
IBMとユニシスが再選出
日本IBMと日本ユニシスは第3回以来の選出である。両社の共通点はハードリソース、ソフトリソース、保守サポート、の三つの評価分野で満点を獲得したこと。ハードリソースでは、CPUやメモリー、ハードディスクを柔軟に追加できるかどうかを評価。ソフトリソースでは、クラウドサービスで利用できるOSや仮想化ソフト、データベースなどの種類の多さを評価した。
日本IBMが提供している「IBM SmarterCloud Enterprise」では、仮想化ソフトとして「Hyper-V」や「KVM」のほかに、IBM独自の「PowerVM」を利用することができる。日本ユニシスの「U-Cloud IaaS」では、「VMware vSphere」「Xen」「Hyper-V」のほか、Oracle製品の仮想化に欠かせない「Oracle VM」が利用できる点が特徴だ。
今回のクラウドランキングでは、「保守サポート」分野で満点を得たサービスが多数あったことも特徴だ。第4回の2サービスから、8サービスに増えた。満点を得たサービスでは、24時間365日のサポートや、電話やメールなどの複数の受付方法を実現している。