企業がITを活用する際に欠かせない存在が、製品やサービスを提案/販売する「売り手」としての販社/SIerである。製品やサービスがどんなに優れていても、ユーザー企業のニーズやITスキルに合致していなければ、期待された効果を生み出すことはできない。
しかし、販社やSIerの提案および販売における活動をテーマとした市場調査など、ユーザー企業と販社/SIerの双方が互いを理解するための助けとなる情報は意外と少ない。そこで今回は、「ユーザー企業が販社/SIerの提案/販売における活動をどう評価しているのか?」に関する調査結果を取り上げることにする。
業務システムの購入先は製品/サービスより分散している
図1は年商500億円未満の中堅・中小企業1400社に対し、業務システムの購入先としても最も主要な1社(3年間の累計金額が最も高かったもの)はどこかを尋ねた結果である。
ここでの「業務システム」とは基幹系、情報系、運用管理系、分析/出力系、顧客管理系といった様々な業務アプリケーション、各種のハードウエア、事務機器(複合機など)、インターネット接続サービス、ハウジング/ホスティング、IT運用/保守アウトソーシング、業務アウトソーシング、クラウドといったIT活用全般に関連する商材をすべて含む。つまり、ユーザー企業がIT関連ソリューションを導入する際の、最も主要な発注先と言い換えても良いだろう。
図1には回答件数が多かった上位16社のみを掲載しているが、調査実施時の設問には60社以上の選択肢を提示した(上位16社以外は「その他」に含めている)。
最も多く挙げられているのは大塚商会で、唯一10%を超えるシェアとなっている。中小企業はもちろん、小規模企業/SOHOなどにも幅広い商材を提供していることが背景にある。一方、NTTデータは収益面では大企業向けのシステムインテグレーションが中心だが、税理士/会計士に広く支持されているソフトウエア/サービス「達人シリーズ」や経営支援サービス「BizMARE」といった中小企業および小規模企業/SOHOを対象とした商材も提供しており、社数ベースの集計では上位に位置している。
この2社の続くのは、複合機や様々な運用管理サービスである「NetBegin」を提供するリコー、中堅企業の基幹系業務システムにおいて高い実績を誇るオービックなどである。しかし、「その他」の占める割合が36.9%と最も高いことからも分かるように、業務システム購入先は製品/サービスのシェアと比べて分散傾向が強い。それだけ、多種多様な業務システムの購入先(=売り手)が存在しているわけだ。