Windows Server 2003のサーバーが3台あり、OSのバージョンアップに合わせて仮想化の検討を考えています。3台の仮想化なので、1台のWindows Server 2008あるいはWindows Server 2012の仮想化で対応できるかと想定していますが、どのように実現性を評価していけばよいのでしょうか?

 また、仮想化ソフトであるVMwareやHyper-Vにつきましては構築時点でのサポートが気になりますが、サポート体制はそれぞれどのようになっているかご教示いただけませんでしょうか?(50歳、情報システム部門)

 Windows Server 2003は、Windows Server 2008およびWindows Server 2012のHyper-Vでもサポートされるようです。

http://technet.microsoft.com/library/hh831531.aspx

ですので、Windows Server 2008でも2012でも、どちらのHyper-Vでも移行は可能でしょう。

 移行先ですが、基本的に現在のサーバーハードウエアはCPUも高性能化し、メモリーなども大容量化しているので、既存の3台の物理サーバーを1台の仮想化サーバーに移行させることは可能かと思います。ただし、実現性を評価するには、以下の点を確認しておく必要があるでしょう。

・ライセンス

 既存のOSライセンスがハードウエアにバンドルされていたものの場合、異なる物理サーバーにライセンスを移行させることができません。改めて新しいサーバー用にライセンスを購入する必要があります。ライセンスはWindows Server 2008と2012で異なるので、確認の上で既存環境3台分の適切なライセンスを取得して下さい。

・性能

 仮想化の特性上、CPUなどの性能はあまり劣化しませんが、ストレージなどのI/Oは性能が劣化しやすくなります。特にこれまで3台別々の物理サーバーの動作が1台に集約されると、I/Oの競合が発生する可能性があります。新しいハードウエアには、十分な数のハードディスクを搭載する、RAIDコントローラーのキャッシュを用意するなどの対応が必要です。

・アプリケーションのサポート

 Windows Server 2003上で動作させたいアプリケーションについて、仮想化環境上での動作について評価が必要です。ライセンスで仮想化環境での動作が許可されていなかったり、特殊なハードウエアが必要な場合には移行は困難です。また、動作サポートが物理サーバーに限られる場合、ほとんどの場合には動作しますが、ある程度自己責任での対応が必要になります。

 その他、仮想化環境のサポートについては、新規の場合に比べて既存環境の移行となるとサポート責任が分かれてしまったり、あいまいになってしまうことが多くなります。可能であれば、既存環境を構築したシステムインテグレーターなどに相談されることをお勧めします。

宮原 徹(みやはら とおる)
日本仮想化技術 代表取締役社長兼CEO
中央大学法学部法律学科卒。日本オラクルでのLinux版Oracleのマーケティングに従事後、2001年びぎねっとを設立。Linuxをはじめとするオープンソースの普及活動を積極的に行い、IPA「2008年度 OSS貢献者賞」を受賞。2006年には次の目標を仮想化技術の普及に定め、日本仮想化技術を設立。仮想化技術のエバンジェリストとして、日々全国を飛び回っている。

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