スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスを、仕事にも使いたいというニーズが急速に高まっている。実際、大塚商会 マーケティング本部ICTソリューション推進部 ゲートウェイプロモーション課 課長の矮松 浩氏は、「スマートデバイスに関する案件は増えている。米アップルのiPadが出てからスマートデバイスへの注目が高まり、ビジネス利用へ展開するといった流れがある。また、震災を受けて在宅勤務での利用を検討するケースもある」と説明する。

 ウチは違う、そんなのは他人事──。こう流していられなくなるときが来るかもしれない。ネットワーク管理者のあなたがスマートデバイスの社内利用を望んでいなくても、ある日、上司から「うちも社内でスマホやタブレットをつなげるようにしてほしい」と言われるかもしれないからだ。そのときになって、「何も知らない」「よくわからない」ではすまされない。

ノートパソコンとは違う

 スマートデバイスを社内ネットワークにつなぐとなったとき、ネットワーク管理者は何を検討すべきなのだろうか。その項目はかなり多い(図1)。目的や使い方を明確にすること、私物端末の利用(BYOD)を許可するかどうか、ネットワークにはどうやって接続させるか、セキュリティはどうするか──などである。

図1●スマートデバイスの社内接続について検討すべきことはたくさんある
スマートデバイスを社内接続するときには、まず目的や使い方を明確にするのが大切。そのほかにセキュリティや管理面などでも検討すべきことは多い。
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 なかでもネットワーク管理者にとって重要なのは、社内ネットワークの確認だ。機器の設定やセキュリティがしっかりしていなければ、「つないでみたら遅かった」「端末の管理が大変だった」「せっかく端末を持ち出しても外から社内につなげなかった」なんてことになりかねない。

 従来、補助的に使っていた無線LANアクセスポイントを本格的に活用する場合、アクセスポイントの増強を検討したり、電波干渉の有無を調査したりする必要がある。例えばアクセスポイントの増強では、「家庭向けの製品を企業向け製品に変更する」「アクセスポイントの台数を増やす」といった対策が考えられる。このほか、外出先から社内にリモートアクセスしたいなら、ルーターのVPN機能を使ってリモートアクセスを受け付ける設定にするか、通信サービス事業者のリモートアクセスサービスの利用を検討することになる。

 端末の管理面では、ノートパソコンと同じように考えていると後から困ることも出てくる。セキュリティや運用管理では、スマートデバイスならではの難しさがあるためだ。マカフィー マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 スペシャリストの松久 育紀氏は「私物端末の利用を許可した場合、様々な種類のOSや端末が使用される。スマートデバイスは端末ごとの差異が激しいので、脆弱性が発見されたときにパッチの管理が煩雑になる。このほか情報漏洩対策をする場合、DLPのような複雑なプロセスを実行するとリソースやバッテリーへの負荷が大きくなるうえ、OSの機能制限でアプリケーションで実行できる機能が限られてしまうといった問題も考えられる」などの課題を挙げる。

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