分析・設計の生産性や品質は、ツールによって高められる。1210人の回答から明らかになった。

●調査概要

 「日経SYSTEMS 開発支援ツール徹底調査」は、2012年3月9日から4月9日にかけてインターネット上で実施した。調査の実務は日経BPコンサルティングが担当。ITエンジニア向けWebサイト「ITpro」などを通じて回答者を募った。直近2年以内のプロジェクトで分析・設計作業に携わったITエンジニア1210人から有効回答を得た。

 回答者の主な内訳は、「1次請けのITベンダー」が最も多く33.1%だった。次いで、「自社システムに関与する情報システム部門の立場」が27.8%、「2次請け以降のITベンダー」が14.0%である。
[画像のクリックで拡大表示]

 分析・設計ツールを利用しているITエンジニアのうち、88.5%はその効果を実感している――。

 雑誌「日経SYSTEMS」が2012年3月から4月にかけて実施した「日経SYSTEMS 開発支援ツール徹底調査」で、このことが明らかになった(調査概要を参照)。調査では、「分析・設計ツール」の利用状況や導入効果を尋ねた。ここでいう分析・設計ツールとは、要件定義や設計の工程における分析・設計作業を支援するもの。業務フロー図、クラス図、E-R図などのモデルを作成する機能を持つ。それだけでなく、作成したモデルの情報を基に開発ドキュメントを生成したり、モデルからソースコードやSQL文を生成したりするといったさまざまな分析・設計作業の支援機能を備える。調査では、Excel、Word、PowerPointなどの汎用的な作図機能を備えるオフィスソフトは、分析・設計ツールに含めないことにした。

 分析・設計ツールの効果があると答えた割合(注1)は、冒頭で述べたように全体で9割近くに達した。しかも、「分析・設計作業の生産性」「分析・設計作業の品質」「ドキュメント作成の生産性」「ドキュメントの品質」といった、多くのITエンジニアが現場の課題だと認識していること(注2)ほど、ツールの効果を実感している割合が高かった。つまり、分析・設計ツールはITエンジニアから「現場の課題を解消するのに役立つ」という評価を得ている。

 現場での評価の高さは、ITエンジニアへの個別取材でも確認できた。「生産性や品質を高める上で、分析・設計ツールは欠かせない開発環境の一つだ」(ワイ・ディ・シー プロジェクトマネジメントオフィス マネージャ 田村秀雄氏)という声が相次いだ。

 一方、分析・設計ツールの利用率は半分に満たないという結果も明らかになった。直近2年以内のプロジェクトで、分析・設計作業に携わったITエンジニアのうち、「ツールを利用した」と答えたのは44.4%。過半数は利用していなかった。この結果から、ITエンジニアの間では分析・設計ツールの機能や効果についての認識が浸透していないと考えられる。直近のプロジェクトで初めて分析・設計ツールを使った、エム・アイ・シー・システムの安倍拓男氏(システム本部 プロジェクトマネージャー)は、「他社のエンジニアに勧められるまで、分析・設計ツールをよく知らなかった。使ううちに非常に便利だと分かり、もっと前から使っておけばよかったと思った」という。

 以下では調査結果から、分析・設計ツールによってどんな効果が現場にもたらされるのかを解説する。その上で、効果を生むツールの機能を挙げる。さらに、ツール選びの参考になるように、利用率や満足度が高いツールのランキングを示す。最後に、実際の利用者への取材を基に、ツールの利点と便利な使い方を紹介する。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。