日本マイクロソフトの「Microsoft Windows Server 2012」は、同社のPCサーバー向けOSの最新版である。クラウド環境あるいはサーバー仮想化環境での利用を重視しており、旧版のWindows Server 2008 R2と比べて180以上の機能追加/強化を施したとしている。
まず、サーバー仮想化ソフト「Hyper-V」を強化した。旧版(Hyper-V 2.0)と比べて、仮想サーバーに割り当てることができるリソースを拡大した。仮想サーバー当たりの仮想CPU数を最大4個から最大64個へ、仮想メモリー容量を最大64Gバイトから最大1Tバイトへ拡張した。物理サーバー当たりの同時実行仮想サーバー数も、最大384台から最大1024台へ拡張した。
Hyper-Vの機能強化も施した。物理マシン間で仮想サーバーを移動させるライブマイグレーションにおいては、ディスク共有型のクラスタリング構成が必要なくなり、シェアードナッシング環境で動作するようにした。さらに、同時に複数のライブマイグレーションを実行できるようにした。仮想ネットワークスイッチも強化し、サードパーティがプラグイン形式で機能を拡張できるようにした。
ファイルシステムも強化した。物理ディスクを束ねてストレージプールを構成し、ボリュームのシンプロビジョニング(容量仮想化)を可能にした。実際に割り当てられている物理ディスク容量を超えるボリュームを運用できる。また、内容が重複するデータブロックを省いてストレージ消費量を削減する重複排除機能を搭載した。
クラウド(IaaS/PaaS)サービスであるWindows Azureとの親和性も高めた。オンプレミスのWindows Server 2012システムと、Windows Azureを混成して、双方の違いを意識することなく利用できる。例えば、両者でログインID情報を同期させることにより、シングルサインオンが可能である。
エディションは4種類ある。クラスタリングなどのフル機能を提供するエディションとして、仮想サーバー台数を2台までに限定した「Standard」と、台数無制限の「Datacenter」を用意。このほかに、スモールビジネス向けの「Essentials」とOEM向けの「Foundation」がある。
エディション | Datacenter | Standard | Essentials | Foundation |
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主な用途 | 高度に仮想化されたプライベート/ハイブリッドクラウド環境 | 低密度または仮想化されていない環境 | スモール ビジネス環境 | 経済的な多目的サーバー |
機能概要 | フル機能(仮想インスタンスは無制限) | フル機能(仮想インスタンスは二つまで) | シンプルなUI、クラウドサービスへの構成済み接続、仮想化権限なし | 仮想化権限のない汎用サーバー機能 |
ライセンスモデル | プロセッサライセンスとCAL | プロセッサライセンスとCAL | サーバーライセンス(25ユーザーに制限) | サーバーライセンス(15ユーザーに制限) |
Open Business参考価格(税別) | 92万5000円 | 17万円 | 8万1700円(変更の可能性あり) | OEM価格 |
5 CAL参考価格(税別) | 3万3800円 | 3万3800円 | ― | ― |
発表 | 2012年9月5日 | |||
出荷開始 | ■ボリュームライセンス:2012年9月1日 ■パッケージ:2012年9月26日 |