シトリックス・システムズ・ジャパンの「Citrix VDI-in-a-Box 5.1」は、社員50人から数百人の中小企業に適したデスクトップ仮想化システム(VDI)である。1台のPCサーバー上に複数の仮想デスクトップ環境を生成し、これらを社員がシンクライアント端末から利用できるようにする。
製品は仮想アプライアンスの形態で提供する。Citrix XenServer、VMware ESX、Hyper-Vなどのサーバー仮想化環境で動作する。特徴は、必要な機能をすべて1台のPCサーバー上で提供できるように、システム構成を簡略化していることである。
個々の社員と仮想デスクトップ環境を1対1に対応付けるコネクションブローカや、アクセス要求に応じて仮想デスクトップ環境を配備するプロビジョニングなど、必要な機能一式を提供する。仮想デスクトップ環境のイメージデータも、同じPCサーバーの内蔵ディスクに保存する。
ターミナルサービス型アクセスとマスターイメージ管理が可能に
新版の「5.1」では、機能面で二つの改善を施した。一つは、個々の独立した仮想デスクトップ環境にアクセスする通常のVDIの使い方に加え、1台のWindows Serverを複数ユーザーで共有する形態の仮想デスクトップ環境を利用できるようにしたこと(ターミナルサービス型)。これにより、OSにかかるライセンス費用を抑えられる。
もう一つの改善点は、全ユーザーに共通するマスターイメージを管理しつつ、ユーザーごとに異なるアプリケーションやデータを管理できるようにしたこと。これにより、個々のユーザーごとに独立したデスクトップイメージを管理する方法と比べ、ストレージ使用量を抑えることができる。
新版では、動作保証ソフト/デバイスも拡大した。デスクトップOSとしては、既存のWindows XP/7に加えて、新たにWindows 8とWindows Server 2008 R2の動作を保証。また、データ保存用ストレージとしてSSD(半導体ディスク)の動作を保証する。
XenDesktopへの移行パスも用意
価格はオープンだが、同時50台接続時のシステム構成で約280万円になる。この場合のシステム構成は、Citrix VDI-in-a-Boxの同時接続50人分のライセンス、汎用のPCサーバー(内蔵ディスクを含む)、サーバー仮想化ソフト(無償版)、Microsoft VDAライセンス(仮想デスクトップ向けライセンス)となる。
なお、Citrix VDI-in-a-Boxは、米Citrix Systemsが2011年に買収した米Kavizaの製品(旧称Kaviza VDI-in-a-box)を基にしている。CitrixのVDI製品としては、ほかにCitrix XenDesktopがある(画面転送プロトコルは、両製品ともCitrix ICAを使用)。Citrix VDI-in-a-BoxからXenDesktopへのライセンスの移行も可能である。
仮想化の対象 | Windowsデスクトップ環境(Windows XP/7/8、Windows Server 2008 R2) |
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動作環境 | 仮想アプライアンスの形態で提供。Citrix XenServer、VMware ESX、Hyper-Vなどで動作 |
価格 | オープン。同時50台接続時のシステム構成で、Microsoft VDAライセンスを含めて約280万円(1台当たり約5万6000円) |
発表 | 2012年8月30日 |
出荷開始 | 2012年8月30日 |